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“ 素朴理論 ” に立ち向かえ

『〈叱る依存〉がとまらない』読了。

職場における他者理解の、
大きな参考になった。

フロア全体が“嫌な空気”に満たされる。
それでも罵倒はノンストップ。

「なぜ、あんなに大きな声で…」
「どうして、あんな言い方で…」

この問いに、脳科学・認知科学
の知見から解答する一冊だ。

「誰かを罰することで、
 脳の報酬系回路が活性化する」

なるほど。
気持ち良くなってるのね。
自分に酔ってるのね。

さらに我が上司は、
「罵倒→放置→懐柔」の
コンボ攻めを行う。

具体的には、
①激しく叱った後、
②少し期間を置き、
③静かなトーンで穏やかに話す。

本書によると③の時、
被害者にとっても
「報酬」が発生し、
より強い関係性が生まれるとのこと。

…ヤ○ザの手法だ。
恐ろしい。

この手法は“素朴理論”
・きつく叱られた経験がないと
 打たれ弱くなる。
・理不尽を我慢することで
 忍耐強くなる。
・苦しまないと人は成長しない。
を多くの人が“何となく”
信じていることで
ある意味「公認」されている。

本書では素朴理論に対して、
著者・村中直人さんは、
徹頭徹尾、
統計データ、法的根拠、
科学的知見で淡々と反証する。

その他、
・「学び」をもたらす欲求のメカニズム
・学校教育の〈叱る依存〉
・スポーツ指導の〈叱る依存〉
といった項目もあり、
現場教員だけでなく、
生徒たちにも読んでほしいと思った。

強敵は“生存者バイアス”
つまり
・叱られて立派になった人はたくさんいる。
・私は厳しく叱られて強くなった。感謝している。
・成功者の多くは厳しく叱られてきた。
・叱られたことのない人は弱くなる。
という一部の成功者から見た体験だ。

上記のことを否定はしないが、
「万人に当てはまる」
という肯定も、
絶対にしてはならない。

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