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介護クライシスは目の前に


ついに介護職離職者が介護職就労者を上回る!


いつもは資産形成や経済についてのお話が多いのですが、今回は日本の社会の中でも深刻な問題に触れたいと思います。
今、日本の社会では様々な「危機」が渦巻いていますが、それら危機の1つに「介護」があります。
先日の日経新聞にも「迫る介護クライシス(危機)」という見出しで大きく取り上げられていました。

介護のどんなことが危機かというと、介護人材の離職です。
昨年、ついに介護の就労者を離職者が上回ってしまったというのです。
離職者の数は6万人。
それだけの数の方が他業種に流出しました。
要介護認定者は増加の一途を辿っています。
2015年には600万人だったのが、2040年には1000万人に迫るそうです。
それに対して、介護職員は280万人が必要とされています。

給料が少なく、賃上げも平均以下


これからの日本の高齢社会を支えるべき絶対不可欠な介護職ではありますが、現実は厳しいものがあります。
一言で言うならば、給料が少なすぎるのです。
もともと賃金が少ないうえに、賃上げも限定的です。
23年春季労使交渉の全産業平均賃上げ率3.58%に対し、介護事業所の平均賃上げ率は1.42%と、全平均の半分もいっていません。
しかも飲食や小売など、人材不足で賃上げされて就労するのも比較的容易であれば、尚更です。

介護職の方々も生活がかかっています。
気持ちでやっていくのにも限界があります。
他業種の方が給料が良ければ、転職するのは当然の流れです。
そうやって、少しでも高待遇を求めて転職する人達を誰が責められるでしょうか。
当然ながら介護職はボランティアではありません。

要介護者一人当たり、年間210万円がかかると言われています。
介護サービスは国民の保険料と税金で成り立っています。
介護職員の給料を増やすには、国民負担を増やす必要が出てきます。
かといって、容易に負担を増やすのにはそう簡単にはいきません。

政府の公助が不可欠


政府では、2月からの介護職の賃上げ原資は23年度補正予算で確保されていると言いますが、それも月6,000円程度です。
たかだか月6,000円が上がっただけで、生活が良くなり、介護職を辞める人が減るとは到底思えません。
月6,000円といったら、1日200円です。
1日たった200円で何ができますか?

全産業平均給与と比べると、約7万円の差があるのです。
桁が1つ違うのです。
本気で介護就労者を思い止まらせようと思うのであれば、他業種との給与の差を縮めるしかないです。

こういう部分でこそ国債発行で賄っていくべきだと私は思うのです。
ばらまきだと言われようとなんだろうと、人の命がかかっています。
280万人の介護職員を確保するには、理想だけを高く掲げてもだめなのです。

介護クライシスが現実味を帯びてきています。

参照 日本経済新聞
11/30 『「介護職賃上げ「月6000円」分、継続的に』
11/28『迫る介護クライシス』
#介護 #介護サービス #財源

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