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展覧会「マティス 自由なフォルム」(於 国立新美術館)


今年2月に行った展覧会。

アンリ・マティスは、かなり好きな画家・芸術家。いろいろなところで何度も見ているけれど、今回東京へ来たのは切り絵を中心とした作品群だという。行かねばなるまい。

そんなに大きな展覧会ではなかったけれど (それでも2200円した)、いくつか発見があった。初めに並んでいたのは、本や果物などを描いた静物画。法律家になることをやめ、パリで絵の修行を始めたときに師事したのは、ギュスターヴ・モローだという。ちょっと意外。先の部屋へ行くと、彫刻が並んでいる。こんなに多くの彫刻をつくったのかと驚くとともに、先生はエミール・ブールデルだったと知った。さらに、若いときの絵は、コルシカ島や妻の故郷であるトゥールーズで描いている。これも知らなかった。

シニャックの影響を受け、筆触分割で絵を描き、マルケやドランらと共に野獣派と呼ばれたあたりからは、お馴染みの絵がしばらく続くも、すぐに切り絵に移った。やはり、アメリカから注文を受けた壁画の準備のために制作した「ダンス」や、画集にした「ジャズ」は圧巻。たしか、汐留のパナソニック美術館で10年以上前に見た気がする。

切り絵の中でも、「ジャズ」を制作したあたりの「ブルーヌード」シリーズは特におもしろかった。青一色の色紙を切り抜いて女性の裸体を表現したと思いきや、たとえば足の太ももは、10種類程度の微妙に色の違う色紙が細かく張り合わされている。これはすごい。知らなかった。

そして最後は、依頼されれて徹底的につくりこんだ修道院のヴァンス礼拝堂である。会場にステンドグラスが飾ってあるだけではない。いちおう礼拝堂の内部が再現されている。別の展覧会での再現の方がよかった気がするけれど、今回もニース近くの街、ヴァンスにあるという礼拝堂の幻想的で厳かな雰囲気が再現されている。

できれば、ニースにいた頃に描いた赤色をふんだんに使った室内画がもっと見たかった。窓の外に地中海が見える絵は1点しかなかった。次回マティスの作品群が来るときは、ぜひ期待したいと思う。

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