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挑戦し続けること

挑戦にはポジティブなイメージがありますが、挑戦しても必ずしも成功するわけではありません。むしろ失敗することの方が多いのです。研究とは、このような挑戦の連続です。

博士課程の時の研究は、流電電位法という特殊な電気探査の研究でした。流電電位法では、坑井そのものを電流源とした比抵抗法で、その当時、日本ではほとんど研究されていませんでした。流電電位法は、地熱探査に利用され、地熱貯留層の直接探査として、注目されることになりました。

流電電位法では比抵抗分布に着目するので、地熱流体の入れ物としての貯留層は探査できますが、その中にある地熱流体の動きを把握することはできません。そこで、流体の流動に着目した流体流動電位法を考案しました。流体流動電位法では、地熱流体の流動に伴う電位変化を検出します。この電位の時間変化をモニタリングするために、多点同時観測ができる計測システムを開発しました。

流体流動電位法は、遠方にある固定電極と、測定点との間の電位差を測定するため、長い電線が必要になります。これは、測定上のデメリットになります。このデメリットを形決するため、遠電極との電位差ではなく、測定点周辺の電場を観測する流体流動電磁法を開発しました。まだ完成形とは言えませんが、測定システムも出来上がりつつあります。

流体流動電磁法の計測システムでは、電場2成分と磁場3成分を計測できるので、このシステムを改良することで地磁気地電流法(MT法)の小型計測システムが開発できることに気付きました。そのため、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構の委託を受けて、小型磁気センサを用いた計測装置を開発中です。

このように、一つの研究が完結しようとすると、新しい課題が見えてきます。一歩踏み出すと、さらにもう一歩を踏み出す必要があります。嬉しいことに、研究には終わりがありません。

#一歩踏みだした先に

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