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ミリしら物理探査#27 琥珀と静電気

 物理探査学の授業で、電気探査の導入として、いつも静電気の話をしています。静電気は、物質の表面に貯まった過剰な電荷によって引き起こされます。夏場はあまり感じませんが、冬場だと毛糸のセーターによるバチバチという静電気や、エレベーターのスイッチを触れた時のちょっとした感電など、割と身近な電気現象です。

 この静電気はかなり昔から知られていて、琥珀こはくが小さなホコリやゴミをくっ付ける不思議な現象が観察されていました。琥珀は貴族やお金持ちの衣服のボタンとして使われていたため、このような現象が発見されたようです。現代人なら中学の理科や高校の物理などで、この原因が静電気力だとわかりますが、昔の人は魔法のような不思議な現象と思ったことでしょう。

 琥珀は大昔の樹木の樹脂が化石化したもので、宝石としても珍重されています。特に虫入りの琥珀は、珍しいので高価な値段で取引されるようです。映画『ジュラシックパーク』では、恐竜のDNAを抽出して恐竜を復活させますが、DNAを採取したのは”琥珀の中の蚊”からという設定になっています。

 実は電気(electricity) の語源は、琥珀を表わすラテン語 ēlectricusが由来です。意味は“amber-like” で、”琥珀のような”です。タイトル画は、静電気を発生させる装置”バンデグラフ”の実験の様子です。バンデグラフの金属球に触れた女の子には、極性が同じ電荷が移動しますので、髪の毛の電荷が反発し合って、”怒髪天を衝く”ような状態になっています。

 静電気はライデン瓶などに貯められますが、平賀源内のエレキテルのように”一気の放出”しかできないので、電流の調整ができません。電気が広く使われるようになるのは、ボルタの電池などが発明され、比較的安定した電流が扱えるようになってからになります。今では、電気は現代人の生活に欠かせないものになっています。

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