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ミリしら物理探査#22 誘導磁化と残留磁化

 磁気探査で測定する磁気異常の原因には、2つの磁化機構が考えられます。一つは誘導磁化で、もう一つが残留磁化です。

 鉄やニッケルなどの強磁性体の金属は、磁化率が大きいので、外部の磁場によってその磁場と同じ方向に磁化されます。これが誘導磁化です。例えば、鉄釘を磁石にくっつけると、その鉄釘にも別の鉄釘がくっつきます。これは、磁石の強い外部磁場によって鉄釘が磁化し、鉄釘が一時的に磁石と同じ挙動を示すからです。しかし、外部の磁場を取り除く(磁石から釘を離す)と、鉄釘の磁石効果は無くなり、鉄釘は離れます。誘導磁化は、外部磁場がある時だけに働きます。

 しかし地球には、地磁気という大きな磁場が常に働いています。磁気探査では、地磁気によって磁化された埋設鉄類(パイプやドラム缶)や、鉄鉱石などの探査を行います、

 外部磁場が強いと、強磁性体を永久磁石にすることができます。強磁性体に強い外部磁場を加えた後に、その外部磁場を取り除いても、元の状態に戻らず磁気を獲得した状態が維持できます。この磁気が残留磁気で、その磁化機構が残留磁化です。この場合の残留磁化は、等温残留磁化と呼ばれます。落雷などの強い電流が地面に流れると、その電流が作る強い磁場によって、岩石が磁化される場合があります。これも等温残留磁化です。

 その他にも、残留磁化には熱残留磁化や堆積残留磁化などがあります。熱残留磁化は、”磁気の化石”のように、その磁気を獲得した時の状態が長い間保存されます。地磁気の逆転は、このような岩石の熱残留磁気の磁化方向によってわかりました。

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