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アンサング偉人伝#10 医学と物理学に貢献したガルヴァーニ

 ルイージ・ガルヴァーニ(Luigi Galvani)はイタリアのボローニャ出身の医師・物理学者で、ガルバーニとも表記されます。地元イタリアでは、像が建つぐらいに有名で、十分に称賛されていますが、日本ではあまり知名度がありません。ガルヴァーニの凄いところは、医学と物理学の重要な発見を同時にしたことです。

 1780年、カエルの解剖をする際に、切断用と固定用の2種類のメスをカエルの足に差し入れると、足の筋肉が震えるのを発見しました。これは、材質(金属)の異なるメスの間に、イオン化傾向の違いで電流が流れたことによる反応でした。カエルの足の中に電気が流れること見つけたガルヴァーニの発見は、その後の電池の開発の口火となりました。また、これまで筋肉の動きは、神経が何らかの液体を運び、筋肉を膨張させるためだと考えられていましたが、そうではなくて、筋肉の収縮は電気信号によって起きることが証明されました。下は、ガルヴァーニの肖像画ですが、ちゃっかりカエルの下半身が描かれています。

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 ガルヴァーニは、筋肉を収縮させる力を動物電気 (animal electricity)と名付けました。また、アレッサンドロ・ボルタはガルヴァーニにちなんで、この現象をガルヴァーニ電気と名付けました。このような生物学的現象の研究は、電気生理学と呼ばれています。

 ガルヴァーニは自身が医者でもあったので、この現象の医学的な側面に着目しましたが、ボルタは「二種類の異なる金属で電流を発生させつことできる」物理的な側面に着目しました。その後ボルタは、現在の電池の原型となるボルタの電堆を発明します。この功績で、電圧の単位にはボルタにちなんだボルト(Volt)が使われています。ガルヴァーニにちなんだ電気の単位はありませんが、電流の流れを検知する検流計は、英語でガルバノメータ(ガルヴァーニの測定機)と呼ばれています。


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