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私のバイブル#3 Electromagnetic Methods in Applied Geophysics: Vol.1 Theory

 今回はガチのバイブルです。私の専門は物理探査の中でも、電気探査や電磁探査です。特に最近は、電磁探査を使った地下の3次元可視化に関する研究をしています。その電磁法の基礎理論をまとめたものがこの本です。

 アメリカにはSociety of Exploration Geophysicists (SEG) という物理探査の学会があります。この学会が編集して出版したのが、Investigations in Geophysicsシリーズの3冊目に当たるこの本です。3冊目と言っても、この本は、Vol.1とVol.2の2分冊になっています。この本のVol.1が今回紹介する私的バイブルです。日本語に訳せば、『応用地球物理学における電磁探査:その1 理論編』です。

 電磁探査の理論は複雑で、その基本になるのはマクスウェル方程式です。マクスウェル方程式は、電磁気学の教科書のは漏れなく載っていますが、これらの本で扱っているのは空中での電磁場です。私が対象とする地中の電磁場については、どの電磁気学の本も取り扱っていません。そこで活躍するのがこの本です。

 この本では、通常の電磁気学では扱っていない”電流源”や”磁気源”を考慮したマクスウェル方程式が使われています。マクスウェル方程式のような偏微分方程式を解く場合は、境界条件初期条件が重要ですが、この本ではその辺りについても丁寧に説明されています。また、大本の偏微分方程式から求めたい電磁探査での理論式の導出が丁寧に書かれています。

 この本に書かれた理論式の導出過程を勉強することで、この本には書かれていない探査の理論式も自力で導けるようになりました。電磁探査の研究を専門とする人は、国内では多くても百名程度だと思いますが、電磁探査の研究者なら手元に置いておきたい一冊です。

 これまで紹介してきた私的バイブルはすべて重量級でしたが、この本も例外ではありません。私はハードカバーとソフトカバーの2冊を持っていますが、ハードカバーの方はかなりの重量です^^。


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