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石油・天然ガスの探査

 物理探査には色々な方法がありますが,石油鉱業では弾性波探査(地震探査),重力探査磁気探査が主として使われています。 

 弾性波探査反射法は油・ガスの探鉱において,広域の構造を詳細に把握できる最も効果的な物理探査法です。反射法は,陸上または海上で人工的に振動を起こし,地下からの反射波を測定し,その測定データをコンピュータで処理・解析することにより地質構造を把握します。昔は構造形態の把握だけに使用されていましたが,最近では高精度の速度情報,波形や振幅情報を用いたAVO解析,坑井データを用いたインバージョン等による物性値の推定や,これらのデータも用いた層位学的な解釈も行なわれています。 

 重力探査では,測定した重力値から求められる重力異常を使って,基盤構造の決定,褶曲構造,潜在断層,カルデラ構造の検出を行なうことが出来ます。石油や天然ガスは,褶曲構造の背斜部分に貯留する(溜る)ので,ブーゲー異常による褶曲構造の調査は概査として極めて有効です。例えば厚い地層が堆積している場合,一般に下の地層ほど年代が古く密度が大きくなります。 このような地層が褶曲すると,背斜部分では高密度の下部地層が地表に近づくためにブーゲー異常が大きくなり,逆に向斜部分ではブーゲー異常が小さくなります。このような重力異常の分布から背斜構造の有無を推定することができます。 

 磁気探査は,高精度磁力計を使用して地球磁場を測定し,地下の磁性体の分布を知る物理探査です。磁気探査は,陸上だけではなく船上や飛行機によって実施されていて,特に飛行機による空中磁力探査は能率が格段に良いことから,堆積盆地評価を目的とした概査には極めて有力な探査法と言えます。磁気探査では自然の地磁気を測定しますが,帯磁の方向と残留磁化の問題のため,その解釈は重力探査に比べるとやや複雑です。



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