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数学の小ネタ#13 ”足し算”は”掛け算”よりも難しい?

 昨日、NHKで『数学者は宇宙をつなげるか?』と番組を見ました。この番組は、人類に残された最後の超難問と言われる『ABC予想』というものを取り上げた番組です。ABC予想を優しく説明するのは難しいので、”足し算と掛け算の違い”に焦点を当てて、ABC予想を説明していました。

 この番組の中で語られていた「足し算は掛け算よりも難しい」が、私には衝撃的でした。「難しいのは掛け算なんじゃないの?」と私も思っていましたが、説明を聞くと「なるほど・・・」と少しだけ納得しました。例えば10という数は、掛け算なら2×5と(-2)×(-5)の2通りに分解できますが、足し算なら1+9や2+8以外にも、2+2+2+2+2や1+1+・・・+1とも表せます。また、負の数まで含めれば無数の組み合わせで表わすことができます。これが”足し算”の難しさです。

 ABC予想のことは私もよくわかりませんが、どうやら”足し算”と”掛け算”の性質と密接な関係があるようです。このABC予想を京都大学の望月新一教授(タイトル画)が、画期的な新理論を使って”証明した”とされています。論文自体は、2020年2月5日に専門誌にアクセプト(受理)されたのですが、”証明できたかどうかは”数学者の間でも賛否両論です。

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 この証明に使われたのが、中二病をくすぐる名称の『宇宙際タイヒミュラー理論』(略称:IUT理論)と言います。この望月教授によって提唱された理論は難解すぎて、理解できる人が数少ないと言われています。またこの理論を使って構築された論文は、”未来から来た論文”と称されるなど、数学界だけではなく世界にも衝撃をもたらしました。

 IUT理論を数学者ではない一般の人たちに理解してもらうのは大変です。数学者ではありませんが、私のような理系研究者でも理解するのは難しい数学理論です。この理論は、数学の従来の枠組みからはみ出しているようです。この難解な理論を出来るだけ分かりやすく解説した本が、下記の本です。私はこの本を読みましたが、”やっぱりよくわからない”ことがわかりました。ひょっとすると、これまでの数学を終焉させ、新しい数学を再構築する時期が来ているのかもしれません。


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