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ショウリョウトンボの乱舞 

今朝、通勤途中で精霊しょうりょうトンボの乱舞に遭遇しました。自宅の駐車場を出るころから、トンボが飛んでいるのには気が付いていましたが、通勤途中でかなりまとまった数のトンボが飛んでいる光景を目にしました。このトンボを見て、「もう、そんな時期なんだ」と季節の移ろいを感じました。

ショウリョウトンボを全て漢字で書くと、”精霊蜻蛉”となります。このトンボは、精霊祭しょうりょうまつりのころ現われるウスバキトンボ・キトンボなどの俗称ですが、特にウスバキトンボを指すことが多いようです。地方によっては、ショウリョウエンバ、ショウリョウヤンマ、ショウリョウなどとも呼ばれ、俳句では秋の季語になっています。このトンボは”ご先祖様の使い”なので、捕獲してはいけないと言い伝える地方もあります。しかし、そんなことは知らない小学生の私は、昆虫採集のために結構捕獲していました。ご先祖様、スミマセン。

精霊蜻蛉の正式名称はウスバキトンボ(薄羽黄蜻蛉)で、全世界の熱帯・温帯地域に広く分布する汎存種です。その名の通り、タイトル画のように”黄色っぽい体”に”薄い翅”が特徴です。ウスバキトンボは寒さに弱く、幼虫(ヤゴ)は水温4℃で死滅するといわれています。よく見る一般的なトンボなのに、実は日本には土着していません。毎年日本で発生する個体群は、まず東南アジア・中国大陸から南日本で発生し、数回の世代交代を繰り返しながら、季節の移ろいとともに日本を北上してゆくのだそうです。

南西諸島や九州・四国では4月中旬に飛び始め、本州南部では5〜6月、中部山岳地帯や東北地方では7〜8月、北海道では9月というように発生時期が徐々に北上します。お盆のある8〜9月頃には、日本各地で大群で飛び回る様が観察できます。現在のところ、南下をする個体群などは確認されていないので、冬の時期には寒さで死滅すると考えられています。九州南部や南西諸島では幼虫が越冬する可能性もありますが、詳しいことはまだわかっていないそうです。また、このトンボたちが毎年春にどの地方から来るのかも、明らかにはなっていないそうです。

よく見るトンボにも、謎はたくさんあります。ミステリアスなショウリョウトンボに、ちょっと興味を惹かれました。

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