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地磁気と地電流

 地磁気は、地球が持つ磁気や地球によって生じる磁場のことを指します。地球は、北極側にS極、南極側にN極がある一つの大きな磁石と考えられます。この強い地球の磁場は、大気や水が宇宙空間へ拡散するのを防ぎ、地球に降り注ぐ宇宙線や太陽からの紫外線を減らす役割を担っています。地磁気は、我々を含む地球の生命を守る役目も果たしています。

 この地球による磁場は一定ではなく、さまざまな時間スケールで常に変動しています。そのなかでも、地磁気脈動と総称されている現象は、周期が0.2秒から1000秒までの変動です。これは、太陽からのプラズマ流(太陽風)などが原因で、磁気嵐の時に活発となります。

 このような地磁気の変化が起きると、それに誘発されて地中に微小な電流が流れます。地磁気ほどお馴染みではありませんが、これが地電流です。地電流には、送電線などの人為的要因によるものもありますが、一番の要因は、最初に説明した地磁気の変動に伴う電磁誘導です。太陽の活動の影響で電離層や磁気圏に電流が流れると、地磁気が変動し、その磁場変化を打ち消すような方向に地中に電流が誘導されます。

 このような地電流は、地磁気の変動と関係があるので、地電流(による電場)と地磁気(の変化量)の比に相当するインピーダンスを求めれば、このインピーダンスから地下の比抵抗の情報が得られます。これが、地磁気地電流法(MT法)の原理です。このMT法は、地下深部の探査法として、さまざまな分野で利用されています。我々の研究室では、現在このMT法の探査装置の開発を行なっています。

 MT法で測定する地電流は、地磁気の変動が原因なので、微小な大きさですが、落雷によっても地電流が作られる場合があります。このような地電流は、とても大きな電流値を持つので、落雷によって直接感電しなくても、地中を伝わる地電流で感電する場合があります。正確な統計は知りませんが、雷被害の大半は、直接の落雷よりも、この地電流に感電するほうが圧倒的に多いそうです。クワバラ、クワバラ。

 一般的に靴底は絶縁性のあるゴム製なので大丈夫でしょうが、地面を手で触れたりしていると感電する危険もあります。逃げる場所のない開けた土地で急に雷に遭遇した場合は、手を頭の上に置いて低い姿勢で屈みましょう。決して手で地面を触れたり、お尻をついたりしてはいけません。

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