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電気探査の必須アイテム#1 電線(ビニール線)

電気探査の必須アイテムのNo.1は、何と言っても”電線”です。電気探査では、地面に電気を流したり、地表の電位差を測定したりするので、電線が無ければ探査は出来ません。よく使うのは、ビニール絶縁電線(ヨリ線 2.0㎟)の 300m巻です。現在の価格だと、300m巻き1巻で2-3万円くらいです。

流電電位法や流体流動電位法では、遠方にある基準電極との間の電位差を測定する必要があるので、基準電極から本部までの距離が数kmになることもザラです。通常は3-5kmくらいの遠方に基準電極を設けますが、山中で直線的に電線を張ることは難しいので、実際には何割増しかの電線が必要になります。北海道の奥尻島で流電電位法による地熱探査を実施した時には200万円以上の電線を購入しました。

ビニール絶縁線は、タイトル画にあるように、カラフルな色をしていますが、電気探査で最も使われるのは黄色の電線です。その次には、使われる頻度が高いのは赤色の電線です。何色でも良いように思われますが、山中で判り易い(目立つ)のは黄色や赤色です。茶色や緑は、林の中では最も目立たない色になります。

それから、気温が低い冬場には、ビニール線が固くなりますが、黄色い線が最も硬くなりにくいのです。この理由はよくわかりませんが、長年の経験によると、黄色の電線が最も良いのです。

ただし、これは日本国内に限ったことで、国が変われば”電線事情”も変わります。カナダで実験した時には、日中の最高気温が0℃でした。このような場所では、寒冷地用のビニール線が必要です。実は、実験準備の段階で日本から持って行った電線を使ったのですが、その後、現地スタッフからダメ出しをもらいました。夜間はさらに気温が下がるので、日本製の通常仕様の電線は耐えられないとのことでした。『郷に入れば、郷に従え』です。

電気探査のエキスパートになるためには、電線の巻き方を覚える必要があります。電気探査の終了後、300m巻きの電線を手動で巻き取らなければなりません。この時に、電気探査のエキスパートの力量が問われます。手のひらと上腕を利用して、電線を交互に往復させることで電線を巻き取るのですが、達人になると早歩きの速度で電線を巻き取ることができます。

電気探査を実施するためには、頭と体の両方を使う必要があります。


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