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ミリしら物理探査#19 スネルの法則

 スネルの法則(Snell's law)は、波動の屈折現象における二つの媒質中の進行波の伝播速度と入射角・屈折角の関係を表した法則のことです。屈折の法則とも呼ばれていて、この法則はホイヘンスの原理によって説明することができます。

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 波が速度の異なる境界を通過するとき、波の経路が屈折します。この屈折する角度は、入射角に関係があります。入射角が大きくなると、屈折角もそれに応じて大きくなります。ある角度になると、屈折角が90度になり、この時の入射角を臨界角と言います。この臨界角以上の角度になると、入射波は全てが反射します。これを全反射と言います。

 弾性波探査には、屈折波を利用する探査法があって、屈折法と呼ばれています。この屈折法では、地下の地層境界で臨界屈折し、さらにもう一度臨界屈折して地表に戻ってくる波を利用します。今では反射波を用いた石油探査が主流ですが、石油探査の初期には屈折波を用いた屈折法が主流でした。屈折法は、現在では土木的な調査(トンネルやダム建設のための基礎地盤調査)に利用されています。

 インターネットには、光ファイバを使った高速通信が欠かせません。光ファイバは、ファイバ中を光が伝播することを利用した伝送路ですが、その仕組みにはスネルの法則が利用されています。光ファイバは二種類の媒質を使った構造になっています。この構造は、ファイバ中の光を外に逃がさないためのものです。光ファイバでは、中心部と外縁部の光速を変えることで、外側に向かった光が内側に全反射するような作りになっています。

 ○○の法則と言われると難しいものと思われ、敬遠されがちですが、意外なところで身近な生活に役立っています。スネルの法則もその一つです。


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