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"分解能"と”可探深度”は二律背反

 物理探査の分解能とは、どこまで細かく探査対象が識別できるかを表わした言葉です。物理探査を選択する場合には、分解能は大変重要で、対象が埋蔵文化財のような数十cm程度のものなのか、大規模な金属鉱床のような数百m規模のものなのかを考えないと、正しい探査手法を選択できません。

 また物理探査では、どこまで深く探査が可能なのかも探査手法を選択するうえで重要になります。これは可探深度と呼ばれています。可探深度を正確に計算することはできませんが、目安となる指標はいくつかあります。例えば、電磁探査ではスキンデプス(表皮深度;skin depth)が、電気探査では電極間隔が可探深度の目安になります。

 ただし、分解能と可探深度はシーソーのような二律背反(トレードオフ)の関係にあります。つまり、分解能を上げようとすれば可探深度は浅くなるし、可探深度を深くしようとすれば分解能は低下します。物理探査では、様々な物理現象を使用しますが、弾性波・電磁波の振幅や重力・磁気などのポテンシャル力は、遠くまで到達すると大きく減衰してしまいます。これが、可探深度と分解能が両立できない根本的な理由です。

 今のところ、両者を同時に満たす探査手法はありません。基本的な物理現象は殆ど、物理探査に利用されています。今後、考えられるのはスピントロニクスじゃないかと睨んでいます^^。

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