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一億円は高いか安いか?

 1億円は高いでしょうか、安いでしょうか?。もちろん、通常の金銭感覚なら一億円は”高い”と思います。しかし、1億円のダイヤモンドや1億円の高級車は高いと思いますが、実験設備や研究費の1億円なら、安いとは思いませんが取り立てて”高い”とも感じません。

 お金があれば研究が必ず成功するわけではありませんが、多くのお金が必要な研究も中にはあります。モノの価値を考える場合、経済的な費用対効果を考える必要があります。例えば、医学や薬学に関する研究は、生命に直結します。そのため、1億円の研究費で多くの命が救えるのなら、決して高くは感じないのです。しかし、科学的研究の価値は費用対効果だけで測れるものではありません。

 例えば、天文学などの宇宙の研究や理論物理学の素粒子の研究は、知的好奇心は満足させますが、短期での経済効果は期待できません。もちろん、この時に開発された新しい技術や知見が、将来役に立つ可能性はあります。すぐに役に立つ技術は、すぐに役に立たなくなるので、研究の価値判断は永遠に答えの出ない問題なのかもしれません。

 現在、地熱開発のためのプロジェクトを進めています。地熱開発を促進するためには、精度の高い”物理探査技術”が必要です。地熱貯留層から、地熱流体(熱水と蒸気)を取り出すためには、地熱貯留層の位置を正確に推定する必要があります。一本の地熱坑井を掘るためには数億円の費用がかかりますが、坑井の掘削に失敗すると”この数億円”が無駄になります。地熱坑井の掘削成功率を上げるためには、高効率・高密度の地熱探査技術が必須なのです。

 初年度の令和3年度の研究費は、研究期間が半年間だったこともあり、7千万円弱でしたが、4月からの来年度はさらに増額されそうです。大きな研究費を任されることは、嬉しい気持ち以上に責任が重大です。2月末に、待ちに待った探査機の試作品が納品されました。これから、試作機の試運転や試験調査を実施予定ですが、時間との戦いなので焦ります。

 まだ測定実験はしていませんが、見た目(大きさや重さ)は予想以上によくできています。今後のテストが楽しみです。

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