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世界”物探”遺産の旅#1 ワスカラン山

世界文化遺産や世界歴史遺産など、世の中には様々な世界遺産が存在しています。そこで、いつまで続くかわかりませんが、世界”物探”遺跡を紹介したいと思います。この物探ぶったんとは、物理探査の省略形です。しばしば、物理探査はブッタンと呼ばれます。このシリーズでは、私が独断と偏見で選んだ世界物探遺産を紹介します。

ワスカラン山は、ペルーの最高峰であり、地球上の熱帯地域での最高峰でもあります。西半球で六番目に高いこの山は、アンデス山脈に位置し、山形はタイトル画のように北峰(標高6,655m)と南峰(標高6,768m)の2つの山塊に分かれています。また地質的には、この山は第三紀の花崗岩で構成されています。

山の形状はタイトル画のように美しいのですが、この山の麓では何度も大きな災害が起きています。有名なのは、1962年1月11日に、急激に気温が上昇で氷河が割れたことによる、大規模な岩屑なだれの発生です。この時には壊滅的な被害を受け、約6,000人が死亡したといわれています。

また1970年5月30日に発生したアンカシュ地震では、ワスカランの北峰で大規模な地すべりを起こり、約1億5千万立方メートルの氷塊と土砂が、3000mの高さから時速300kmで麓にあるユンガイの集落を襲ったといわれています。ユンガイ集落の当時の人口の約18,000人のほとんどが、死亡しました。ペルー政府は、ユンガイの地を国有化して掘り返すことを禁止しているようです。現在のユンガイは、旧市街から南に約2kmの場所に建設されました。

このワスカラン山を世界物探遺産に選定したのは、自然災害が多いという理由ではありません。実は、ワスカランの山頂の重力が、9.76m/s^2と地球上で最も重力が低い地点になっているのです。重力は、引力と遠心力の合力ですから、赤道付近で標高の高い場所なら、低重力の候補地になります。ワスカランは、赤道付近の最高峰なので、地球上で最も重力が小さい場所になっています。

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