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桜散る

桜も満開の時期を過ぎて、そろそろ散り始めています。私の通勤路の途中には、福岡市道路下水道局西部水処理センターという施設があって、道路沿いに立派な桜並木があります。現在は満開ですが、これが強風で散り始めると 桜吹雪になることがあります。数年前になりますが、大学からの帰路でこの付近を通りかかった時に、桜の花びらが強風で煽られて、幻想的な桜吹雪状態だったことがありました。

夜の桜吹雪に運よく遭遇できなくても、次の日の道路はピンク色の桜の花びらで埋め尽くされています。これは桜の絨毯のようです。この西部水処理センターのお隣は、このセンター付属の公園になっています。ここにも桜の木があるので、今週末は花見客でにぎわうかもしれません。

桜はパッと咲いてパッと散る印象があるので、”開花期間の短い花”の代表のように思われていますが、桜はそれほど短命な花ではありません。短命な花の代表は月下美人です。月下美人は一輪の花が一晩だけ咲いて、翌朝にはしおれてしまいます。朝顔や夕顔なども数時間で萎れますが、別の花が次々と咲くので一株当たりの開花時間は長くなります。

桜が散っていく様を詠った、つぎのような歌があります。
  散る桜 残る桜も 散る桜 (良寛和尚)
この歌は、江戸時代の曹洞宗の僧侶で、歌人でもあった良寛りょうかん和尚の辞世の句と言われている歌です。この歌の直接的な意味は、「今どんなに美しく綺麗に咲いている桜でも、いつかは必ず散る」ですが、つまり、限りある命を常に意識しておこう、みたいな感じだと思います。

親鸞しんらん聖人も桜に関する、次の歌を詠んでいます。「明日ありと思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」。これは、「明日があると思い込んでいる気持ちは、いつ散るかもしれないはかない桜のようだ。夜に嵐が吹いたら(翌朝には)もう見ることはできない」というような意味です。この歌は、奇しくも先程の桜吹雪を詠っているような内容です。

説教じみたことは言いませんが、「今を懸命に生きる」ことが大事なような気がします。こんな記事を書いた私は、それが出来てないのですが・・・。

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