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ぶったん四方山話#14 地熱資源を有効活用したい

脱炭素に舵を切ったこれからの日本には、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの利用が期待されています。太陽光発電や風力発電はお馴染みの再生可能エネルギーですが、これらは発電量が少なかったり、天候に影響されるなどの特徴があって、ベース電源にはなり得ません。しかし、太陽光や風力ほどの知名度はありませんが、純国産の再生可能エネルギーが日本にはあります。それが地熱です。

日本は火山国で、昔から温泉や蒸気を、健康の増進やレクレーションとして活用してきました。これも直接的な地熱利用です。日本は、アメリカ、インドネシアに次ぐ世界第三位の地熱ポテンシャルを持つ国です。しかし、地熱発電量で言えば、世界10位に甘んじています。これには様々な理由がありますが、日本が地熱発電に力を入れて来なかったツケが回ってきた証拠です。

地熱発電所が一度できると、昼夜や天候に関係なく、安定して発電が可能なため、ベース電源としての役割を果たすこともできます。しかし、地熱発電所を作るまでには、相当な時間がかかります。地熱発電所を作るためには、まずは地下深くから高温な地熱蒸気や熱水を取り出す必要があります。この地熱蒸気や熱水は、およそ1000mから3000mの深さの、地熱貯留層という場所に存在しています。

このような地下深部の地熱貯留層を探すためには、物理探査という地下を探査して可視化する科学技術が使われます。その中でも、地熱探査には地磁気地電流法という電磁探査が利用されます。地磁気地電流法は、その名の通り、自然の地磁気と地電流を観測することで、地下深くまでの探査が可能です。しかしながら、地磁気地電流法の既存測定装置は値段が高くて重量が重く、地熱資源の有望地である山間地域の探査に適しているとはいえません。

そこで、九州大学の物理探査学研究室では、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構の支援を受け、小型軽量な地磁気地電流探査装置の開発を実施しています。これが完成すれば、可搬性に富むので、現状よりも野外での地熱探査が簡単に実施できる可能性があります。また、この測定装置を火山周辺に数多く設置すれば、火山噴火の予測にも役立つかもしれません。さらに、夢物語かもしれませんが、地震予知の研究にも利用できるのではないかと考えています。

SDGsの一助になればと、『日本から世界へ』を合言葉に、新技術の開発に邁進しています。


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