見出し画像

マイン マイン マイン!!

 地下資源の探査に関する研究をしているので、地下資源を採掘する鉱山は英語の論文にもよく出てきます。この鉱山は、英語でmineと言います。また、鉱山開発には爆薬が使われることが多いので、意味が転じて”地雷”や”機雷”の意味でmineが使われるようになりました。今から十数年前には、カンボジアなどでの対人地雷の非人道性がクローズアップされ、地雷探査装置開発のプロジェクトが行なわれていましたが、いつの間にか尻すぼみで終わったようです。

 mine(マイン)という言葉はゲームでも使われていて、最近のゲームではマインクラフト(Minecraft)があります。このゲームをやったことはありませんが、ゲーム空間の世界は水平方向に無限に広がっていて、鉱石、原木、水、溶岩などの立方体ブロックで構成されているそうです。この、土・石・鉱石で世界を構成することから、mine(鉱山)+craft(技術・仕事)という名前になったのだと想像します。また昔のWindowsには、マインスイーパー(mine sweeper)という地雷を除去するゲームがインストールされていました。

 mineの語源は、鉱山や採掘跡を意味するフランス語の”mines”(ミン)です。フランスは古くから鉱業を大事にしていて、パリにはÉcole des mines(エコール・ド・ミン)と呼ばれるパリ国立高等鉱業学校があります。この大学は、フランス理工系の最高峰であり、多くの技術者や技術官僚を輩出しています。卒業生の中には、ノーベル賞受賞者もいますし、フランス大統領経験者もいます。あのカルロス・ゴーンさんも、この大学の卒業生です。

 mineにはもう一つ、所有代名詞としての”私のもの”という意味があります。このmineは綴りも発音も一緒ですが、イギリス発祥で、フランス発祥のmineとは語源が違います。いろんな意味を持つmineは、文脈で意味を判断するしかありません。それでは、mineが4つ入った次の文章を訳せますか?。

   A mine in the Mine mine is mine.

 これは少し意地悪な問題で、”Mine”が無ければ訳せたかもしれません。この大文字で始まるMineだけ、固有名詞です。山口県には美祢(みね)市という場所があって、そこには美祢鉱山という大きな石灰石鉱山があります。この例文自体があまりよくありませんが、定冠詞が付いたMineが固有名詞であることに気付けば訳せるでしょう。私の考える訳は、「美祢鉱山の地雷は私のものです」となります。実際には有り得ないシチュエーションですが・・・。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?