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恥ずかしながら理事になりました

 この記事を書くか書かないか、ずいぶん迷いましたが、ブログに書くネタが尽きてきたので、思い切って書くことにしました。わたくしこの度、『九州大学出版会』の理事に就任しました。理事と言っても、年に数回ある理事会に出席するだけの、無給の仕事、いわばボランティアです。といっても、まだ就任したばかりで一度も仕事をしていませんが・・・。

 有名な大学は、その大学の教員が教科書などの本を出版するのをサポートするため、”○○大学出版会”という法人組織を持っています。その中でも有名なのは『東京大学出版会』です。九州大学出版会は、少し紛らわしいのですが、”九州大学”の出版会ではなく、”九州の大学”の出版会です。『九州大学出版会』には九州大学をはじめ、九州の大学が数多く参加しています。

 ただし、その発祥が九州大学だったため、今でも多くの理事が九州大学の先生で占められています。普通、理事は名誉職みたいなもので、エライ先生が就任します。私のような下っ端の大学教員が選ばれることは稀です。これは私の勝手な憶測ですが、私が理事候補に選ばれたのは、九州大学出版会から拙著『はじめの一歩 物理探査学入門』を上梓したのが要因だと思われます。

 九州大学出版会から出版される本の多くは、”文系の先生の研究成果”です。伝統的に、文系では自著の出版は大きく評価されますが、理系では自著の出版はほとんど評価されません。理系では、論文の数が主な評価対象で、しかも英語で書かれた学術誌でないと評価されません。日本語で書かれた論文は、現在では殆ど評価されません。そのような現状もあって、理系研究者の出版意欲が低いことが『九州大学出版会』の弱点となっています。

 私のように、自腹で編集費を出して、ほぼ自費出版のように教科書を出版するような”奇特な人”は、理系研究者では珍しいのです。九州大学出版会から理事就任の要請が来た時には、「なぜ私?」とその内容を疑いました。「本当に私で良いんですか?」と何度も確認して、最終的に承諾しました。

 インターネットの時代になって、”出版不況”はかなり前から言われています。大手の出版社ですら厳しいので、小さな大学出版会は尚更です。私は紙の本が好きなので、紙の本は残したいと考えていますが、今の時代では大学出版会でも”デジタル出版”が必要な時期になったと考えています。

 ポンコツ教員で誠に微力ですが、九州大学出版会のサポートが少しでもできればと切に願っています。

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