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コラム#4A 太陽嵐と宇宙天気予報

 太陽嵐とは,太陽で大規模な太陽フレアが発生した際に太陽風が爆発的に放出され,それに含まれる電磁波・粒子線・粒子などが,地球上や地球近傍の人工衛星などに甚大な被害をもたらす現象です.太陽は,太陽黒点数の変化周期である約11年のほか,数百年程度のいくつかの活動周期を持つといわれています.活動周期で最も顕著なのは11年周期であり,およそ11年毎に,活動が活発な極大期とそうでない極小期とを繰り返します.

 活動が活発な極大期には,人工衛星に搭載された電子機器などに被害をもたらすような強い太陽フレアが発生することもあります.1859年の太陽嵐は,記録上で最も巨大な磁気嵐です.このときは,ニューヨークやハワイなどの低緯度地域でもオーロラが観測されています.また,過去にも太陽嵐に関連したオーロラが記録されています.鎌倉時代の歌人,藤原定家は,1204年に長時間続いたオーロラについて,自身の日記「明月記」にそのことを書き残しています.

 太陽風が磁気圏に衝突することが原因となって,短波通信障害や地上の電力施設などにも被害をもたらすことがあります.宇宙天気予報とは,太陽フレアや磁気嵐などの状況である宇宙天気を観測し,それに伴う影響を予測して,地球上の天気予報と同じように予報するものです.このような予報は,人工衛星の運用者や漁業無線などの短波電波を使った通信の利用者などにとっては重要な情報となっています.日本では,宇宙天気情報センターが設立された1988年から情報提供が開始され,宇宙天気予報はウェブサイト上で公表されています.


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