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地熱発電所巡り#6 大沼地熱発電所

 大沼地熱発電所は、東北では2番目、全国では3番目に完成した地熱発電所です。運転の開始は昭和49年6月で、出力は9,500kWです。場所は、秋田県鹿角市八幡平(はちまんたい)字熊沢の国有林内にあります。十和田八幡平国立公園に指定される八幡平は岩手・秋田の県境にあり、標高1400~1600mの山並みが広がっています。八幡平の周辺は、春には新緑、秋には紅葉、冬にはスキーと1年を通して楽しめるリゾート地になっています。

 大沼地域は、南北に延びる花輪沈降帯と東西系の八幡平-焼山火山列とが組み合わさった構造の北部に位置しています。八幡平については有史の火山活動は記録されていませんが、焼山については大同2年(807年)以来、1957年までに9回の火山活動が記録されています。高温の地熱流体は、この八幡平-焼山の火山活動と密接に関係して形成され、発電所の南方地域下深所から割れ目を満たし、流動していると考えられます。

 大沼地熱発電所では、生産井から噴出した流体を各生産基地に設置した気水分離器で蒸気と熱水に分離し、蒸気は発電所へ、熱水は還元基地へと導かれます。蒸気輸送管を通って発電所へ導かれた蒸気は、タービン・発電機を駆動して発電します。役目を果たした蒸気は復水器で凝縮され、冷却塔でさらに冷やされた後、再び復水器に送られて冷却水として再利用されます。

 大沼地熱地域では、三菱マテリアル(株)の協力の下、流体流動電位法による調査を実施させて頂きました。この研究成果は、日本地熱学会の学会誌に掲載され、その後に学会の論文賞を頂きました。興味のある方は、下記のリンクから辿って下さい。論文の全文がダウンロード可能です。


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