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いま蓄電が熱い!?

二酸化炭素による地球温暖化に関連して、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの使用が増えています。しかし地熱発電を除けば、多くの再生可能エネルギーは天候や気候に大きく左右されます。太陽光は夜間には発電できませんし、風力発電も無風では発電できません。

このような不安定な電源からの電気を安定的に使うためには、電気を貯めていつでも使えるようにする蓄電技術が不可欠です。このような蓄電技術を駆使して多くの電力を貯める場所のことを、発電所ならぬ『蓄電所』と言います。

「電気を貯めるなら電池でしょ!」と単純に考えてはいけません。エネルギーは多様な形で存在するので、電気を電気のままで貯めなくても、別のエネルギーとして貯めることができます。

かなり前から既に実用化されているのが『揚水発電』です。これは揚水”発電”という名称になっていますが、実は揚水”蓄電”です。揚水発電では、夜間の余剰電力を利用してダムに水を揚水してため、ダムの水の位置エネルギーとして電力を蓄電しています。揚水発電は大きな電力を蓄電できますが、ダムが必要ですので、広い土地と莫大な建設費用が必要です。

揚水発電の考え方を利用して、水以外の位置エネルギーを利用する方式も考えられています。これは『コンクリート蓄電』といって、余剰電力でコンクリートブロックを高所に積み上げることで蓄電します。このコンクリートブロックは、必要な時に平地に戻され、その時のエネルギーを使って発電します。

電気を位置エネルギーではなく、運動エネルギーに変えて蓄電する方式もあります。これは『フライホイール蓄電』で呼ばれています。フライホイールというのは、金属製のコマのようなものを回転させて、回転の運動エネルギーとして蓄電します。この方式のメリットは、”丈夫で長持ち”です。フライホイールは構造が簡単で、構成部品も少ないので、30年程度は使えるそうです。最近はバッテリーも寿命が増えましたが、それでも10年程度です。

これ以外にも、『圧縮空気蓄電』や『砂蓄電』(どちらかといえば蓄熱)などがありますが、これからも新しいアイディアが現れそうです。いま蓄電が熱いみたいです。

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