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地熱発電所巡り(番外編) 杉乃井ホテル

 大分の田舎で育った私には、杉乃井ホテルは定番の娯楽スポットでした。当時は杉乃井パレスと呼ばれていて、パレス(楽園)の名前の通り、ジャングル風呂(温泉)、歌劇ショー、プール、スケートリンク、遊具など、一年中楽しめる場所でした。子供会の年度末の旅行は、決まって杉乃井パレスでしたし、それ以外でも遊びに行っていましたから、毎年少なくとも1回は行っていたともいます。そんな栄華を極めた杉乃井パレスも、経営破綻してしまいました。紆余曲折あって、現在はオリックスグループが杉乃井ホテルを引き継いで経営しています。

 オリックスグループが運営する”別府温泉 杉乃井ホテル”は、自家用では国内最大規模となる”杉乃井地熱発電所”を所有・運営しています。設備容量は1.9 MWで、発電した電力はホテル全般の電気設備で使用し、ピーク時の使用電力の30%を賄っています。

 オリックスグループは地熱発電に積極的で、北海道函館市南茅部地域において設備容量6.5 MWの地熱発電所「(仮称)南茅部地熱発電所」の建設に着手しています。この発電所は、バイナリー方式では国内最大規模の地熱発電所になる予定で、2022年初春の竣工・商業運転の開始を目指しています。地熱発電所を計画すると、少なからず地元の温泉関係者の反対にあいますが、オリックスグループでは徹底的な地元への情報開示で、この反対を避けていることをNHKの地熱特集で知りました。

 またオリックスグループは、青森県青森市、青森県下北郡風間浦村、岩手県八幡平市においても同様に地熱発電所の建設に向けた地表調査を実施していて、次の段階の掘削調査の準備をしています。さらに、東京都八丈町と町内における地熱発電利用事業に関する協定を締結し、2023年度以降に最大出力4.4 MWの地熱発電所の運転開始を計画しています。

 これまでの、電力会社、石油会社、鉱山会社などとは全く異なる分野からの地熱開発への参入は大歓迎です。オリックスグループが地熱開発に新しい風を吹き込んで、日本の地熱開発が促進されることを切に望みます。


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