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質問/回答は”選択と集中”が重要です。

明後日から物理探査学会が東京で開催されます。この学会に参加するため、明日から東京に出張します。しかし、明日の午前中に授業があるため、出発は明日の午後からになります。目的地が東京なので飛行機を使った出張ですが、大型の台風が近づいているので、帰りの便が心配です。以前、東京からの帰りの便が機体のトラブルで、東京に引き返してしまい、福岡に戻れないことがありました。

今回の記事の本題は台風ではなく、学会や講演会などでの質疑応答についてです。学会では、まず研究者が最新の研究成果を発表します。これが終わると質疑応答の時間になります。この一連の流れの繰り返しが、学会などのルーチンになっています。

発表が終わると、この研究成果に関心がある観客席の研究者などが、この成果についての疑問点を質問したり、アドバイスなどのコメントをしてくれます。コメントについてはうんうんと頷いて「貴重なご意見、ありがとうございました。今後の研究の参考にさせて頂きます」と答えておけば特に問題はありません。

しかし、質問に対しては明確な回答で、質問者に納得してもらわないといけません。発表が説明不足であったなら補足の説明を追加しないといけませんし、説明者が誤解しているようならその誤解を解かなければなりません。このように、質疑応答ではうまくコミュニケーションを取りながら進めていくことが求められます。

ここで問題になるのが、”質問の仕方”です。個人的な感想ですが、質問者の多くの人が”ヘタクソな質問”をしています。典型的な悪手の質問例は、一度に多くの質問をすることです。一度の質問で複数の質問すると、質問された研究者は答えを考えながら聞くので、二つ目以降の質問に集中できないのです。2つまでの質問なら、”頭の良い”研究者なら答えられるのでしょうが、3つ以上になるとお手上げです。3つ目の質問を聞いている時には、最初の質問は既に頭の中から消えています。『質問は一回にひとつまで!』のルールを守って頂きたいと思います。ただし、最初の質問に対する回答に疑問点があれば、続けて質問することは何ら問題ありません。

ダメな質問例は、”とにかく長くて冗長な質問”です。質問者の中には、自説を主張したいがために質問するような人がいます。そんな人の質問は、多くの場合、関係ないことを長々と話し、肝心の質問の部分が明確ではないのです。質問の二番目のルールは『質問は簡潔に!』です。もちろん、その質問に対する回答も簡潔である必要があります。質問や回答には、”言葉の選択”と”話題の集中”が求められるのです。

最後に質問の際のキラーワードを紹介します。それは「専門外ですが・・・」や「素人質問なのですが・・・」です。このような質問をする人は、専門外であっても広い知識や見識を持った人なので、決して素人ではありません。この言葉に騙されて、質問者を侮ってはいけません。このような質問をする人にこそ、丁寧な回答で質問に真摯に向き合わなければなりません。ただし、研究者の中にも性格の悪い人はいて、単なる意地悪な質問の場合もあります。若手の研究者の時には、このような質問で何度かアタフタしたことがあります。

私自身は『質問は一回にひとつまで!』と『質問は簡潔に!』を守っているつもりです。質疑応答は、双方向のコミュニケーションの基本です。研究ができることに加えて、質疑応答をうまくこなせれば、一人前の研究者として認められるでしょう。こんなことを書いていますが、私自身はそんなエライことの言えるような研究者ではありません。上から目線のような記事でスミマセン。

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