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ミリしら物理探査#10 『スキンデプス』

  地磁気地電流法(MT法)では、自然の電磁場変化を測定して地下を探査することができますが、低周波(長周期)の電磁場を使えば、かなり深い地中まで探査が可能です。このMT法の可探深度を表わす指標に、スキンデプス(表皮深度;skin depth)と呼ばれるものがあります。  

 元々、表皮深度とは、ある材質に入射した電磁場が 1/e (≒ 1/2.718) に減衰する距離です。 この表皮深度は、透磁率がμ、導電率がσの導体では 1 / √(π f μσ) となります。透磁率に真空の透磁率を使うと、およそ503/√( fσ)となります。 

 例えば、周波数が0.01 Hz、導電率が0.01 S/mの場合、表皮深度は50,300 mとなり、50 km下の地下深くまで探査が可能となります。もちろん、これはあくまで探査深度の目安です。地殻やマントルを対象とした地球物理学的な調査では、長期間のMT測定を実施して、数百kmもの探査を実施した例もあります。ただし、人類が到達できる坑井(井戸)の限界は10 km程度なので、残念ながら検証ができません。

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