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ミリしら物理探査#8 『磁化率と透磁率』

磁化率χは帯磁率とも呼ばれ、外部磁場に対してどの程度磁化するのかを表わした係数です。厳密な表現ではありませんが、物質が外部磁場によって磁石化したときの磁石の強さを表します。帯磁率は真空の値を0として、-1から無限大までの値をとります。外部磁場と同じ方向に磁化される強磁性体や常磁性体は正の磁化率(χ > 0)となり、外部磁場と反対方向に磁化される反磁性体は負の磁化率(χ < 0 )を持ちます。

具体例でいえば、鉄やコバルトなどの強磁性体は正の大きな磁化率を持ちます。通常の物質の多くは常磁性体で、正の小さな磁化率を持ちます。また銅やアルミなどの一部の金属は反磁性体で、負の小さな磁化率を持ちます。

また磁化率は、物質が磁場に引き付けられるか、磁場からはじかれるかを示す量でもあり、強磁性・常磁性の物質は加えられた磁場の方向に磁化が発生して、より大きな磁場の領域に引き寄せられます。一方、反磁性の物質は磁場と反対方向に磁化が発生して、より小さい磁場の領域に向かって押し出されます。

さらに磁化率は、物質に加えられた磁場の磁力線の変化を示す量でもあり、強磁性・常磁性の物質は磁場の磁力線を集中させ、反磁性の物質は磁力線を排除します。超電導物質は、完全反磁性(χ=-1)なので、磁力線が超電導物質中に進入できません。

透磁率は、磁場の強さH と磁束密度B との間の関係を B = μH で表した時の比例定数 μ で表されます。この時、透磁率μは、真空の透磁率μ0を基準とした比透磁率μrを使って、μ=μ0・μrと表されます。さらに比透磁率μrは、前述の磁化率χを使ってμr=1+χとなります。磁化率χは正負の値を持ちますが、比透磁率μrは0以上の値になります。また、比透磁率が0となるのはχ=-1になる完全反磁性の場合です。この時は、透磁率がゼロなので、物質中に外部の磁場を全く通しません。

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