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分野が変わると省略形も変わる。

長い綴りの英単語や長い日本語の場合、その言葉が良く使われる単語なら、省略形が使われることがあります。例えばタイトル画のような曜日の場合、Sunday は Sun、Monday は Monのように3文字の省略形で使われます。日本語の場合でも、日曜日は(日)のように表記されることが多々あります。

"省略形"で本の中での次のエピソードを思い出しました。『若き数学者のアメリカ』は、ベストセラー『国家の品格』を書いた藤原正彦さんの若い頃の著書で、藤原さんのアメリカ留学時代の思い出を書いたエッセイ集です。この本の中で、藤原さんが講義終了後に出した宿題の提出期限を黒板に書いたときのエピソードが書かれています。藤原さんは講義が終わって自室に戻ろうとしますが、学生から質問されます。「その文字はどのような意味なのでしょうか?」。このとき藤原さんは、無意識に”(水)”のように、漢字で曜日を書いてしまっていたのでした。もちろんアメリカの学生には理解できません。

曜日のような一般的/日常的なものは、使い人も多いので間違うことはありませんが、職場/分野が違うと同じ文字でも違う意味になることがあります。例えば、一般的にKYは、”空気(Kuuki)読めない(Yomenai)”を省略したものとして理解されると思います。しかし、資源業界や工場などの危険が伴う場所で働いている人たちにとって最初に頭に浮かぶのは、”危険(Kiken)予知(Yochi)”です。

KYは『KY活動』という言葉にも使われていて、厚生労働省のWEBサイトで次のように説明されています。KY活動とは、”事故・災害を防止するには、 業務を始める前に、 「どんな危険が潜んでいるか」を職場で話し合い「こ れは危ないなぁ」 と危険のポイントについて合意します。 そして、対策を決め、行動目標や指差し 呼称項目を設定し、一人ひとりが指差し呼称で安全衛生を先取りしながら業務を進めます。このプロセスがKY活動です。”

物理探査では、MTと言えば”magunetotelluric(マグネトテルーリック)”のことを指しますが、コンピュータで磁気テープ(magnetic tape)が使われていた時代には、この磁気テープがMTと呼ばれていました。また最近では、カラフルな文房具として注目されているマスキングテープ(masking tape)も、省略形はmtです。

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