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困った依頼!?

 物理探査の研究をしていると、様々な共同研究や仕事以来の話がやってきます。公的または公共性があるものは問題ないのですが、時々私的な仕事依頼もあります。例えば、「その昔、うちの土地には金が出たという言い伝えがある。是非探してくれないか」とか、具体的な場所は言えませんが「○○という場所には、△△長者の埋蔵金伝説があるので探して欲しい」等です。個人的には埋蔵金には興味がありますが、依頼者の土地でもない場所を勝手に探査することはできません。

 名前を言えば多くの人が知ってい某企業Aとの共同研究の打ち合わせの時でした。それまでは、友好的な話し合いを行なっていて、探査のための現地見学なども実施していたのですが、共同研究の契約案を見てびっくりしました。危うく見落とすところでしたが、”研究で得られた知的財産権はすべて某企業Aに帰属する”と、しっかり明記されていました。これでは、共同研究の意味がありません。その後は、契約を結ばずに、共同研究を丁重にお断りしました。

 また、こんなこともありました。別の某企業Bから、地盤沈下(空洞探査)の調査の依頼がありました。その際に概略の説明はあったのですが、話だけでは分からないので、現地を見学することになりました。現場は、肉眼で見てわかるほど地面が凹んでいました。現場見学の後、探査の手順を打ち合わせることになりましたが、某企業Bの担当者から「訴訟が絡んでいるので、出来れば夜中にひっそりと探査して欲しい」と驚くべき申し出がありました。もちろん、「それはできません」ときっぱりお断りしました。研究を引き受ければ研究費はもらえたと思いますが、そんな小狡いことはできません。

 大学は営利目的の企業とは違います。きちんとした目的や公共性があれば、共同研究や受託研究を実施するのに吝かではありません。しかし、個人的な利益や一企業の利益のための仕事は、当然ですがお引き受けできませんので、ご理解ください。


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