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地下環境汚染の探査

 地下環境が、何らかの理由で重金属類揮発性有機化合物農薬等で汚染される場合があります。これらは放置すると、さらに周辺に広がる恐れがあります。通常は、ボーリングを利用した土壌のサンプリングなどを実施して土壌汚染を確認します。万一汚染が確認されたら、その汚染源や汚染範囲、さらには汚染経路を探る必要があります。

 物理探査は、地下資源の存在や地下構造を把握するために地盤の物理的特性を測定する方法ですが、欧米では地盤汚染の調査にも一部の方法が用いられています。地盤汚染調査では、物理探査の利点の一つである”非破壊で汚染物質を拡散させない”ことが注目されています。環境汚染を把握するための物理探査は、その目的が対象地盤の水文地質構造の把握と地下埋設物の敷設状況の把握に大別されます。

 水文地質構造を把握するための物理探査は、主として汚染物質の移動経路を推定するために実施されます。一方,地下埋設物の敷設状況を把握するための物理探査は、内容物が漏洩した場合に汚染源となりうる地下タンクや埋設されたドラム缶等の有無や埋設位置、あるいはボーリング調査等で破損する危険性のある埋設位置の不明確な地下埋設物(地下タンク,油送管,水道管,排水管,ガス管等)の位置を指定するために実施されます。

 汚染自体を把握するための物理探査では、汚染物質と周囲の地層や地下水との比抵抗や誘電率等の違いを検知することにより、汚染物質の存在を推定します。具体的には、電気探査の一種である強制分極法(IP法)が使われます。トリクロロエチレンや石油系燃料等は、原液が絶縁体であり、誘電率が水に比べてはるかに小さいため、電磁探査地中レーダ探査で帯水層中の汚染物質の誘電率分布を把握することによって、高濃度の汚染領域を推定することが可能になります。


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