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雑記コラム

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物理探査に関係が薄い雑多なコラムをまとめました。
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2021年5月の記事一覧

学術書を書き終えて

 ”人生を変えた一冊”というと、たぶん多くの人が、これまで”読んだ本”の中で、どの本が一番感銘を受けたのかに思いを巡らすでしょう。しかし、私は”書いた本”の視点から、人生を変えた一冊を語ろうと思います。おそらく、多くの人にとっては”本を書く”経験はあまりないだろうと想像します。  拙著『はじめの一歩 物理探査学入門』は、私の専門分野である物理探査学の入門編として、2年前に出版しました。この本の”あとがき”にも書いていますが、本を執筆する前の準備期間が2年ほどありました。実際

『物理探査学入門』のあとがき

 インターネットで”物理探査”を検索すれば,多くの情報が簡単に手に入ります.ただし,インターネットの情報は,わかりやすさに主眼が置かれているので,理論が曖昧であったり,時には間違っているものも少なからずあります.物理探査を正しく知る手段の一つに,教科書や専門書などの出版物があります.しかし,物理探査の良い教科書のほとんどは英語で書かれていますし,その内容も難しいものが多く,入門に手頃な日本語で書かれた本は中々見つかりません.  無いなら,自分で書こう.浅学非才を顧みず,物理

『物理探査学入門』のまえがき

 おそらく,この本を読んでいる大部分の人にとっては,物理探査という言葉は馴染みの薄い言葉だろう.物理や探査の個別な意味は知っていても,それを合わせた物理探査にはピンとこないはずだ.探査と聞いて,第1章の最初の図のようにダウジングを思い浮かべる人もいるだろう.しかし,ダウジングは今のところ科学的な根拠や原理が未解明な未科学領域の方法なので,この本では詳しく説明しない.  物理探査を深く理解するためには,多くの学問の知識が必要である.物理探査法の多くは地球物理学を基礎にしている

ご挨拶

 拙著『はじめの一歩 物理探査学入門』を九州大学出版会から上梓して、現時点で2年が経ちました。”物理探査学”という、かなり狭い専門分野の本なので、あまり売れないだろうと覚悟していましたが、1年目で初版の1000部が売り切れました。現在出回っているのは、初版の目立ったミスを修正した初版二刷です。ちなみに九州大学出版会は、九州大学の出版会ではありません。”九州の大学の出版会”です。  売れ行きが気になって、ちょくちょくAmazonさんをチェックしていますが、週に1-2冊の超スロ