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ミリしら物理探査

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物理探査を1ミリも知らない人に、物理探査に関する専門用語を解説します。
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2021年12月の記事一覧

ミリしら物理探査#19 スネルの法則

 スネルの法則(Snell's law)は、波動の屈折現象における二つの媒質中の進行波の伝播速度と入射角・屈折角の関係を表した法則のことです。屈折の法則とも呼ばれていて、この法則はホイヘンスの原理によって説明することができます。  波が速度の異なる境界を通過するとき、波の経路が屈折します。この屈折する角度は、入射角に関係があります。入射角が大きくなると、屈折角もそれに応じて大きくなります。ある角度になると、屈折角が90度になり、この時の入射角を臨界角と言います。この臨界角以

ミリしら物理探査#18 アーチーの式

 岩石の比抵抗(resistivity)と孔隙率(porosity)の間には密接な関係があります。一見、岩石には電気が流れないような印象を持つと思いますが、そうでもありません。岩石を顕微鏡で観察すると、微細な穴(孔隙)が空いていて、その孔隙中には水が含まれています。なお、岩石中の体積に占める孔隙の体積の割合を孔隙率と言います。一般的な岩石の孔隙率は、数%から数十%程度です。この孔隙中の水の存在によって、岩石には電気が流れます。この”岩石の比抵抗と孔隙率の関係”を、実験的に証明

ミリしら物理探査#17 誘電率

 誘電率(permittivity)は、物質内で電荷とそれによって与えられる力との関係を示す係数です。簡単に言うと、電気の貯め易さを表わしたパラメータです。各物質は固有の誘電率をもち、この値は外部から電場を与えたとき物質中の原子や分子がどのように応答(誘電分極)するかによって定まります。この性質を利用して電気を貯める電子部品が、コンデンサ(キャパシタ)です。  誘電率は、地下構造を推定する物理探査では、重要なパラメータの一つです。金属鉱床の探査を得意とする強制分極法(IP法