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数学よもやまエッセイ

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数学や算数にまつわるエッセイをまとめました。内容は、そんなに専門的ではありません。ちょっとした息抜きにどうぞ。
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2022年4月の記事一覧

数学の小ネタ#12 2:8の法則

2:8の法則というのを聞いたことがありますか?。これは、働きアリの観察から発見された経験則のようなものです。  働きアリの行動をよく観察すると、巣に向かってひたすら重い荷物を背負って運ぶもの、手ぶらでただついていくもの、そうかと思うと列から外れたりして勝手にウロウロするものなど、様々なアリを見ることができます。働きアリと言っても、全部がよく働くわけではありません。ざっくり言って、サボっているアリが2割で、真面目に働くアリが8割です。そのため、2-8の法則と呼ばれています。

数学の小ネタ#14 数値計算の加速法(サンプルプログラム付き)

 無限級数の計算には、多くの繰り返し計算が必要ですが、級数の性質によってはなかなか収束しない厄介な級数も存在します。その中でも交代級数と呼ばれる足し算と引き算が繰り返される級数は、収束が遅いことで知られています。有名な交代級数に円周率の1/4を計算するライプニッツの公式があります。この公式は以下のように、奇数の分母を持つ有理数の足し算と引き算で構成されています。  項数を増やして、この式を素直に計算しても、正解には辿り着きません。例えば1000項まで計算しても、有効数字2桁

数学の小ネタ#13 ”足し算”は”掛け算”よりも難しい?

 昨日、NHKで『数学者は宇宙をつなげるか?』と番組を見ました。この番組は、人類に残された最後の超難問と言われる『ABC予想』というものを取り上げた番組です。ABC予想を優しく説明するのは難しいので、”足し算と掛け算の違い”に焦点を当てて、ABC予想を説明していました。  この番組の中で語られていた「足し算は掛け算よりも難しい」が、私には衝撃的でした。「難しいのは掛け算なんじゃないの?」と私も思っていましたが、説明を聞くと「なるほど・・・」と少しだけ納得しました。例えば10

数学の小ネタ#11 偏微分と重積分

 新入学して理系の学部に進んだ人は、大学になっても数学を勉強することになります。線形代数や複素関数論などは、高校生の時に習ったベクトルや複素数などが基本になっています。また、解析学というのは、苦手だった人も多いかもしれない微分・積分が基本になっています。  微分・積分は、高校2年生や3年生で習います。簡単な微分・積分は公式を覚えていればそれほど難しくはありませんが、対数関数や三角関数の微分・積分が出てくると難易度が上がります。しかし、高校数学で取り扱うのは一変数の関数です。