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ぶったん箸休め

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物理探査のことを略して、物探(ぶったん)と呼びます。ここでは、物探とチョッとだけ関係ある話題を集めました。智の箸休めです。楽しんで下さい。
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#地中レーダ

火の山公園の戦争遺跡

今日は日帰り出張で、下関の『火の山公園』に行ってきました。火の山にはロープウェイが運航していて、火の山の2合目の壇ノ浦駅から9合目の火の山駅を結んでいます。ただし冬はロープウェイのオフシーズンなので、今日はロープウェイは動いていませんでした。山頂の公園からは、下関・門司の街並みを一望することができ、タイトル画のように関門海峡大橋も良く見えました。 関門海峡は、幕末・明治時代以降、軍事的に重要な拠点でした。そのため、下関側の山と北九州側の山には、海峡を通過する戦艦を砲撃するた

地中レーダで海賊船を発見

”埋蔵金”について調べていたら、地中レーダに関する面白い記事を見つけました。その記事では、埋蔵金ならぬ”埋蔵船”が発見されたという記事でした。場所はノルウェーのエドイにある農場で、その埋蔵船は2019年に発見されました。発見された船は、メロヴィング朝かヴァイキング時代の船であると考えられているので、約1000年前の船になります。 エジプトなどでは、遺跡の探査に地中レーダが利用され、地下に埋設された様々な遺構の発見に役立っています。しかし、このような船が、しかも陸上で発見され

世界”物探”遺産の旅#番外編 『篠栗九大の森』

世界遺産としてはちょっと小規模なので、番外編として取り上げます。ただし、実際の森はなかなか神秘的です。 篠栗九大の森は、九州大学の敷地(九州大学福岡演習林)の西端にあり、篠栗町と九州大学が共同で整備・管理を行っています。広さ約17haの森には、約50種の常緑広葉樹と約40種の落葉広葉樹が生育し、中心にある蒲田池の周り約2kmの遊歩道には、町の森林の間伐材を使用した四阿やベンチが所々にあり、自然を感じながら休憩することができます。 この森が有名になったキッカケは、タイトル画

箱崎キャンパス内の元寇防塁跡

 鎌倉時代の中頃、1274年(文永11年)と1281年(弘安4年)の2回にわたり、蒙古/元が北部九州を攻めてきました。これが後に言う文永の役と弘安の役で、蒙古襲来ともいいます。当時は蒙古合戦、異国合戦と称され、『元寇』という語は近世以後に定着したと考えられています。  当時の鎌倉幕府(主に九州の御家人)は、文永の役を教訓として、博多の海岸線に蒙古襲来に備えた石組みの防御壁を急遽こしらえました。これが元寇防塁です。元寇防塁は福岡市西区の今津から東区の地蔵松原まで10ヶ所で発見

『篠栗九大の森』と物理探査

 篠栗九大の森は、九州大学の敷地(九州大学福岡演習林)の西端にあり、篠栗町と九州大学が共同で整備・管理を行なっています。約17 haの森には、約50種の常緑広葉樹と約40種の落葉広葉樹が生育しています。特に、湿地の上に木が立つ水辺の森は絶景なので必見です。この水辺の森がSNSで紹介された後、ジブリ映画の『もののけ姫』に出てきそうな幻想的な風景が話題となって、観光バスなどで観光客が来るようになりました。現在は、コ〇ナのせいで最近は訪れる人が少ないので、今が水辺の森をゆっくり観察

遺跡探査へのいざない

 私はガチの理系ですが、なぜか考古学が好きで、物理探査の応用の一つとして遺跡探査の研究も行っています。遺跡探査によく使われるのは磁気探査や地中レーダ探査です。磁気探査は地中に埋まった鉄製品を見つけるのに威力を発揮します。また、地中レーダは深さ2m程度なら、高分解能で地下を可視化できます。  現在、遺跡探査というと、地中レーダを思い浮かべる人が多いかもしれません。これは早稲田大学の教授だった吉村作治先生の影響が大きいと思います。最近はテレビであまり見かけませんが、『世界ふしぎ