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挑戦できない理由

 表題のとおり、その理由について心理学的に考えていきます。
昨今、スタートアップという言葉が出てきて、ひと昔に比べると「リスクを取ろう」という雰囲気が出てきました。とはいっても、なかなかリスクを取って挑戦しようと思えないのが多くの人の心理ではないでしょうか?

 私たちに二の足を踏ませている、3つの要因について解説します。

1.損失回避

 損失回避はノーベル経済学賞受賞のダニエル・カーネマンで有名となりました。読んで字のごとしで、私たちは損失を回避しようとします。
「そんなのあたりまえじゃん」と思う方もいるかもしれませんが、以下の例について考えてみれば、納得するでしょう。

 コインの裏が出たら、あなたは100万円を失います。
 それでは、表が出た場合、いくらもらうことができれば、あなたはこのゲームに参加しますか?

 これは期待値で考えると、101万円であれば、参加する価値があります。しかし、実際にみなさんがこの条件では参加しようと思わないですよね。
 一応過去の研究では、得られるものが2倍程度にならないと、損失とは同等にはならないことが分かっています。
 つまり

表が出たら、200万円がもらえる
裏が出たら、100万円を失う

ぐらいでやっと、参加する気になるということです。

理論的に考えると、「そんなバカな」となるのですが、これが私たちの心理なのです。


2.不確実性回避

 一般的に何かに挑戦するということは、そこに不確実なリスクが存在します。
 とってもシンプルに比べてみると

安心:初めて見る商品がある。でも、リスクとしてはその分のお金を払うことと、まずいかもしれないということだ。(明確)
不確実:
アフリカで生活しようと思う。言語の問題はもちろんあるが。。。他に何のリスクがあるんだろう??(不明確)

 ちなみに不確実の例に関しては、私が実際に南アフリカに行く前に思っていたことです。現在では、どんな問題が起こりうるのかわかったので、そんなに海外で暮らすことに抵抗はありません。
 しかし、「海外の企業で仕事をする」となった場合には、正直不安で、避けたいという心理が働いています。というのも、経験がなく、自分にとってどんなリスクがあるのか不明確だからです。

 

3.後知恵バイアス

「ほら、やっぱりそうなると思った」
超簡単に説明すると、これが後知恵バイアスです。物事の結果を予測するのはとても難しいです。コロナウイルスの流行はまさにそれです。いろんな要因が絡んでいるので、予測が難しいのです。
 しかし、テレビのコメンテーターたちは、さもわかっていたような話し方をすることがあります。そもそもそんなに予測する力があるのなら、投資とかでがっつり儲けられるじゃん。と思うのですが、そういった人たちはやりません。なぜかというと、事が起こる前は、本当はわかっていないからです。

 結果を知った後に、後付けで理由をつけて、それっぽいストーリーをこしらえる。これが後知恵バイアスなのです。
 これは挑戦する側からすると、本当に厄介なのです。
 成功したら・・・「よかったね」で済まされ。
 失敗したら・・・「ほらね。やらない方がよかったんだよ」と叩かれる。

 こんなことが脳裏に浮かんだら、挑戦したくなくなりますよね。


まとめ

 挑戦したい人・・・私たちは元来、リスク(損失)を過剰に恐れるようにできています。でも、統計的に考えると、案外そうでもなかったりするので、徹底的に最悪の事態を考えてみると、「案外、大丈夫そうだな」と思えてくるので、やってみてください。

 挑戦を見守りたい人・・・「ほら、言ったとおりになった」みたいな後知恵のネガティブな発言は、挑戦の芽を摘むので、挑戦者が失敗したときには、「そういうこともあるよ」みたいな共感を示して、温かく支えてあげてください。


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