vol.83 決定について 4

前回から引き続き

意思決定方法

実際の人間関係の話はさておき、具体的な意思決定方法についてお話します。
以下の本を引用します。

チームの意思決定には3つの方法があります。
1つ目は「独裁」。
...
2つ目は「多数決」。
...
3つ目は「合議」。

それぞれに一長一短のメリット・デメリットが存在します。

THE TEAM 5つの法則 p153
https://www.amazon.co.jp/dp/4344034546

そしてそれぞれのメリット・デメリットについては

・スピード
独裁 > 多数決 > 合議

・納得感
独裁 < 多数決 < 合議

とこんな感じで書かれています。

よく

「ビジネスは意思決定スピードがものをいう」

といった話を聞きますが、意思決定するにあたり重要なキーファクターであることには違いありません。

では、一つひとつ見てみます。

多数決

シンプルでスピード感もあります。予め決められたメンバーが投票して一番得票数の多いものを決定、とすればよいからです。
ただし、以下の3つの課題を解決する必要がありそうです。

・課題1: 同得票数となった場合どうするのか?
総得票数を奇数にする必要があります。
多数決の参加メンバーの数を調整するか、一人あたりの重み付けを変えるなどの対応が必要かと思います。

・課題2: 複数人で決めるため、決定要因や責任の所在に不透明感が増すのでは?
例えば、その多数決に参加していない人たちに対して、決定に至る背景・理由などの説明や質問先といった説明責任や結果責任といった、さまざまなカウンターについて検討しておく必要があります。

・課題3: 票の割れに弱い
案としては別れているものの、案の中にはグループが存在するようなケースがわかりやすいかと思います。
例えば、案Aと案B-1、案B-2(案B-1と案B-2は主旨は同じだが若干違う)があった場合、以下の投票数となったとします。

案A: 3票
案B-1: 2票
案B-2: 2票

この場合、案Aが3票で決まりそうですが、実は投票者の主旨としては案Bが4票(案B-1、案B-2の合計)となるようなケースです。
(他にもボルダのパラドックスやコンドルセのパラドックスなどがあります。ちなみに僕はこのあたりは詳しくはありません。)多数決はケースによって納得感がとても低くなるケースがあるので要注意です。これに対する良い対策案は、、、思い浮かびません。

合議制

みんなで話し合って決めることなので、納得感は増しそうです。
ただ、合議する内容によっては、どの意見も正しく、正解が無いものがあります。そういった重たい内容について決定を行う場合、中々話が進みません。また、日本人は特に同調圧力や忖度により正しい意思決定がくだされない可能性もあります。

ですので課題としては

・課題1: 意思決定スピードが遅くなりがち
上述の本「THE TEAM 5つの法則」には合議制の決定スピードアップ方法として、選択基準と優先順位を予め決めておく、といった事が書かれています。

・課題2: 同調圧力や忖度をどう克服するのか
アビリーンのパラドックスと呼ばれるものかと。ハードルはかなり高いと思いますが、思ったことをストレートに話す文化の醸成が必要です。

独裁

スピード面で圧倒的に優位ですね。
ただし、課題としては以下がどうしても出てきます。

・課題1: 「納得感」や「必然性」をどう高めるのか?
決定にいたる背景・要因をできる限りクリアに説明することで対処できそうです。

・課題2: リーダーの器以上の決定がくだされない
意思決定内容がイマイチな場合、マネージャーレベルであれば適材適所を検討すればいいのですが、替えがきかないような場合はなんともしようがありません。あの手この手を仕込んでハードな提案をする他ないかと。。。

どれがいいのか?

色々ある中で、みなさんどのスタイルがいいと思われますか?

。。。
。。。
。。。

実際は組織の置かれる状況や、どういった人たちがいるかにもよると思いますが、個人的には「独裁」がまだマシかなぁと思っています。

「多数決」は、結論づけるために人数調整とか重み付けを変えるのはイマイチな気がしますし、ある案に多数決で決定したとしてその案に投じた人が複数人いるわけで、票の割れはどうしても生じますし、また責任の所在や決定要因の解釈が違うことへの対処がうまくいくイメージがつきません。

「合議制」は、選択基準と優先順位を予め決めておくことで課題に対処できそうなイメージはありますが、そもそもそれ自体を決定することが中々大変そうな感じがします。そして仮に選択基準や優先順が出来上がったとしても汎用的に利用できるかというと難しく、それぞれの内容に合った選択基準や優先順を毎度新たに作成する必要が出てくるイメージです。
また、合議メンバーが同調圧力や忖度なく議論できる環境であるなら問題はなさそうですが、組織は大きくなればなるほど様々な力学が働くので難しいところもあるのではないでしょうか。(心理的安全性が保たれていたりする必要がありますね。なかなかハードルが高いと思います。)

「独裁」は、責任の所在は明確ですし、票の割れはない。同調圧力はあるかもしれませんが、最終責任を負うことになるので合議制よりはましかと。また、独裁の課題である「納得感」や「必然性」を高めるための対策は組めるイメージです。そして説明責任を果たせばいいかなと思います。(リーダーの器以上の決定がくだされない課題については、横に置きます。。。)

おわり

以上で、vol.75から長々と続いていたテーマ「牛尾さんのブログについて」は一旦終わりです。
牛尾さんのブログから、牛尾さんの傷つくポイント、人と違う意見を言うこと、そして物事の決定についてお話しました。
改めてみるとダラダラとまとまりなく書いてましたね。ごめんなさい。

次回「僕が考えるエンジニアの心得 ver1.0

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