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祖国を捨てる勇気

前回の振り返り

なぜアメリカのD2Cブランドはどデカくスケールするのか?

これまで
1,「スタートの時点で世界をターゲットにしている」
2、「インベスター(投資家)がいる」

を書いてきました。

今回最後のひとつになりました。

3,「祖国を捨てる勇気」

について書いていきます。

祖国を捨てる勇気

「祖国を捨てる?ホンマさん何を言っているんですか?」

「日本を捨てろと言っているんですか?」

そうです、

これは比喩ですが、マインドセット
としては日本を捨てる気持ちが明暗を分けます

D2Cブランドを世界で勝負するなら、
「祖国を捨てる勇気」が必要なんです。


「別に日本と世界と2つのわらじでやっていけば
いいじゃないですか?」

とても賢いと思いますし、私もそうしたいです。

しかし、前回の1,2でも書いたとおり、
それだと海外からの注文を取るのは難しいと思います。

日本語を捨て、あくまで軸足を日本ではなく、世界に向けていないと、注文は入らないです。

自分で書いていて、うぐぐ、、
となりますが、かなり大事なポイントです。

素敵な国、日本

私もそうですが、私たちの祖国日本を
離れるというのは、大きな決断のひとつです。

食べ物も美味しいし、
安全だし、
安いし、
きれいだし、
便利だし、
人も優しいし、

正直、現状なにも不便はありません。
世界中見ても、こんな素敵な国はそうそうありません。

しかし、今現在ではなくて、少し先の未来を
考えるとかなり雲ゆきが怪しいと感じています。

なんにせよ、人口減少と少子高齢化。
ここが大きく、この先ビジネスする上で不利になる点です。

人口動態を見れば未来が見える

日本の総人口はこれから5年毎に-2.4%ずつ減ると
予測
されています。

スクリーンショット 2021-07-06 5.49.59

※出典元 総務省 家計調査を基にGD Freak!が作成

しかも、上の図のように黄色の働き盛りの世代部分が
減っていく
のがよろしくないです。

私のように20代〜30代向けがターゲットのゾーンは
全体の割合の中でも減っている
のがわかるかと思います。

スクリーンショット 2021-07-06 6.54.00

※出典元 総務省 家計調査を基にGD Freak!が作成

さらには、この年代別の表を見ると、大きな山が
あることに気が付きます。

ピンクで囲んだ45〜49歳の山。

ここでクイズです、
人は一番お金を使う年代はいくつだと思いますか?

正解は、
「50代」です。

世代別に見ると支出の内容は大きく変わり、

20代の頃はファッションや食べるもの。

30代になると、人によっては家を買うので
住宅にかかる支出が増えたり、養育費
が増えたりします。

40代からは養育費に教育費もプラスされて
旅行
も増えてきます。

50代にはさらに、サプリ、運動のための支出、
子どもへの大学の教育費や仕送り、生活費
が増えます。

60代になるといったん子どもにかかっていた支出が
落ち着きはじめてくる、とざっくりこんなデータがでています。

ということで、50代は見事に
もっとも「支出の多い世代」
となります。

そして、前の図に戻ってみると、
ピンクの枠で囲まれていたところ。

一番支出が多くなる年代に対し、今の日本は
45〜49歳がちょうど控えています。

つまり何かというと、人口が多いゾーンと「支出が多い世代」が
重なれば、全体の消費が増え景気も良くなります。

なので、ここから十年くらいの日本は
景気が良くなっていくと予測しています。

また人口動態に合わせてビジネスターゲットを
変える
ということも有効な手のひとつです。

「これから10年、景気がいいなんてホントですか?」

私もはじめメンターに教えてもらったときには
信じられませんでしたが

もちろん人口動態だけでなく、金利や株価も絡みますし、
こうやってデータを元に分析すると納得しました。

「ってことは、この先の日本の未来は明るいですね!」

はい、ここ10年未満で見たら良いと思いますが、
問題は次の世代を見てください。

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スッコーン!

と人口が激減していっているのが
わかると思います。

特にいまの30歳以下の世代では
ピークと比べて30%近く下がっています。

つまりこの先、私のように30代以下向けのファッション
ブランドは年々お客さんが減っていく
ということです。

なのでわたしの会社では、いままだ日本でビジネス
できるうちに海外へ進出することを決めました。

いま私がNYにいるのもそれが
理由のひとつでもあります。


今日は、半分自戒の念をこめて、
「祖国を捨てる勇気」について書いていきます。

NYのレストランから見る祖国の捨て具合

NYには数多くの
レストランがあります。

トリップアドバイザーで調べると
15335軒がでてきます。

更に検索を絞ると、
中華料理 542件
日本料理 700件

「日本人がNYでめちゃがんばってるじゃん!」

と思いますよね。
私も数字だけ見たらそう思いました。

しかし、ここNYで私がこれまで入った
居酒屋や日本料理店の働いている
スタッフは全て中国人か韓国人、南アメリカ人ばかり。

じゃあ、オーナーはというと?
NYに30年以上住んでいるという方のブログを見つけたら、
こう書いてありました。

「日本食レストランの経営者のうち、ジャパニーズ(日本人および日系人)が経営者である店は10~15%程度。残りの三分の二は中国人と韓国人で、三分の一が白人、タイ人、ベトナム人、その他という構成になっている。」

この記事自体が10年以上前のものだったので、おそらく今は
さらに比率は日本人が減っているでしょう。

さて、これは何を言いたいのかというと。

中国、韓国人オーナーの方がNYで日本料理を
提供している件数が多い
ということになります。

私もこないだ居酒屋で、黒とんこつラーメン
を食べました。

煮玉子もしっかり味ついてるし、横浜家系の
チェーン店くらいのクオリティはあります。

味は普通に美味しいレベル。

これは私だけでなく、日本人3名いきましたが
皆うまいと言うていました。

ただ、居酒屋のスタッフは全員韓国人。

日本人不在でも、居酒屋レベルであれば日本人の
私たちが食べても普通に美味しいのです。

ここがスゴイところで、彼らは全く自国でも
ない料理で平然と開店していきます。

経験があろうがなかろうが、日本食の
レストランを出すのです。

これは日本食が好きだからとか、
作りやすいからではありません。

とにかく、どうしたらそのマーケットで結果が
出るのかを追求しているだけ
なのです。

じつはNYの中華料理は安い料理の代表となっていて、
取れる値段が決まってしまっています。

それに比べて、カリフォルニアロールや焼き鳥などは
時間はかかるけど、上代が高くつけられコストは抑えられる

同じ飲食店をやるなら利益が取れるもの、
その結果が日本食だったということです。

彼らの多くは、自国ではないレストランを開店させる
だけでなく、自国に戻る気がありません

例えば、以前にNYのUberで話した
中国人のアニキ。

ご存知のように今日の中国では、ITテクノロジーを使い
新しいビジネスがたくさん生まれています。

しかし彼がいうには、それらは政府の関係者のために
あって、一般人にビジネスチャンスは乏しい、とのこと。

特に彼のように、上海でない中国の地方都市生まれに
なると、チャンスはめっぽう少ないそう。

だから、NYに移住してグリーンカードを取り、
ここで一旗上げて、この土地に骨をうずめるとのこと。

30代前半の彼は、7年前に中国を出るときに
そう決めて出てきました。

これは彼に限った話ではなくて、政府の関係で
留学している人たちを除けば、

多くはアメリカの大学を出ても、そのまま
働くか、ビジネスを立ち上げるとのことです。

BTSから見る祖国の捨て具合い

もうひとつは韓国です。

日本よりも人口が少ない韓国では、元より
自国だけでビジネスしようと考えていません。

総人口が約5000万人の韓国、
うちソウルが約1000万人。

ソウルと東京がほぼ同じ規模だとしても、
総人口は日本の半分以下です。

なので、自国でビジネスするという発想ではなく、
外のマーケットに出て勝負するということになります。

あなたもご存知のように、韓国の
エンタメ業界の躍進ぶりは凄まじいです。

例えば「BTS」。

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※参照元 https://aminoapps.com/c/btsarmy/page/blog/bts-in-usa/KW8P_qWbcMubP1XPPV23aavdm5gNEzlLwb

彼らはコロナがあけて4月〜6月までで全米16箇所の
スタジアムでライブを行っています。

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プロダクトの良さ、ブランディング、マーケティング、

全てがガッチリとハマってアメリカでもスマッシュヒット。

韓国のエンタメが世界でも十分に通用する
ということを証明しました。

もしこれが、日本のアーティストやアイドルだったらと
考えると、とんでもない偉業
だということがわかるでしょうか。

はじめから、自国をターゲットにせずにワールドワイドに
ターゲットを絞ったから
こその結果です。

最初から、完全に軸足を世界に向けている。

まずはアメリカ。
次はヨーロッパ。
あとは勝手についてくるでしょ。

この順番です。

まずは日本で売れてから、
そして世界へ行こう。

ではないのです。

最後まで世界でやり続けて
骨まで埋めるつもり。

さらに、自分たちの子どもたちは
その場所からスタート。

アメリカ生まれの二世の世代も
内40%以上とかなり増えています。

ちなみに、LAのコリアンタウンには約12万人韓国人が
住んでいて、NYは約10万人

これに比べてNYの日本人は約5万人が滞在しています。

こう考えると、

韓国総人口 5千万人に対して NYにて 滞在10万人
日本総人口 1.2億人に対して  NYに滞在5万人

日本と比べると4倍以上の差があります。

「祖国を捨て、新しい土地で勝負する」

彼らはこう考えてやってきています。

このマインドセットの違い。

これがNYに来て一番感じたことです。
世界で戦えるかどうかの違いはここにあるなと。


あなたも感じているかと思いますが、
これはかなりリスクも高いと思います。

なので、まだここについては私も研究中です。

NYにやってきて、現地でうまくいっている
人たちにインタビューし続けています。

話を聞けば聞くほど、世界へ進出したい!
という気持ちと、葛藤が生まれてきます。

複数人と話してみて共通しているものは、やはり
軸足を完全に海外へ移すことでした。

もちろん二度と帰らないわけでは
ありませんが、中心は全て海外です。

「祖国を捨てる勇気」

今まで考えることもありませんでしたが、
またここについても情報が新しくなったら
書いていきますね。


ここまで、3回にわけて、
「アメリカのD2Cビジネスは、なぜ
どデカくスケールするのか?」

について書いてきました。

少しでもためになったよ、という人は「スキ」
してもらえたら嬉しいです。

また、感想もここでも、FBの投稿にでも
書いてもらえたら嬉しいです。


では!


ホンマヒデ

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