悪徳商法の話２

この話のシリーズ第二弾。
人生で出くわした悪徳商法について思い出を話していく。

私が大学生だったとき、とある中学校のときの同級生Aからまさに中学生ぶりくらいに連絡があった。

「秀仁、麻雀するんだって？BやC（同じく中学生の友人）も呼んで麻雀しようぜ」

そのとき、自分の家で毎日のように麻雀をしていた私は麻雀と聞けば二つ返事で「押忍」と返し、BとCを呼んでAの家にいくことになった。

違和感があったのは、Aの家は私の家にかなり近いのにわざわざ
「是非自分の家に来てくれ」と強く言われたことだ。
当時私の家は麻雀をする奴のたまり場みたいになっていて、こちらに来る方が自然だし、A宅はマンションであまり騒ぐのもよくなさそうなのに。

まあ麻雀するのは変わらないからええか、とA宅へと向かった。
A宅につくとBとCも玄関前におり、一緒に中に入った。
「いらっしゃい」とAが迎えてくれて、自分の部屋に招き入れる。

部屋に入ると、そこにはすでに誰かが座っていた。
「はじめまして、Dと言います」
スーツ姿のその男はそう名乗り、Aが「俺の部活の先輩」と紹介した。
確かに、年齢的には大学生か社会人１～２年目という印象を受けた。
そのとき考えていたのは「五人回しか…一人抜けダルいなあ」であった。麻雀のことしか考えていない。

先輩Dが「麻雀を始める前に少し話したいことがあるんだ」と切り出し、何か資料のようなものを見せてきた。そしてお決まりの一言。

「いい話がある」

「はやく麻雀してえ」と思っていたがDがどうしても話したそうなので、とりあえず聞くことに。

++++

「…ということなんだ。」やっと説明が終わった。40分ほど話された。
ある程度喋り慣れているようだった。何度も人に同じ話をしてきて、すらすらと説明が出てくる感じだった。塾講師をしているのでそういうのは結構わかる。
話を要約すると、ある商品を売るために自身が代理店となり、商品を仕入れて友人や知り合いに商品を売り込み、同時にその購入者にも代理店になるよう勧誘し、自分の子代理店化を行って繋がりを広げていく、というものである。

え…それってマルチ商法とかネズミ講ってやつじゃん。

そんな顔をしていたら
「これはネットワークビジネスって言って、マルチ商法とかネズミ講とは違うんだよ。そういうのは商品が欠陥品だったり、たいしたものじゃあないから詐欺なんだよ。この商品（うろ覚えだけどシャンプーだったと思う）は高品質なので、マルチ商法やネズミ講とは一線を画しているんだ。」

そのように説明するD。ほんまかいな。Dは続ける。
「これは売る方も買う方もみんな幸せになる方法なんだ。もっと詳しいセミナーが今度会って、それに参加すれば儲かる秘訣を伝授してくれる。是非行こう」
Bは用心深い奴なので怪訝な顔をしている。Cは単純な奴なので「すげえな、儲かるのか」と少し背中を押されたらセミナーに行ってしまいそうな様子を見せている。

その当時は知識も何もないが、とにかく怪しさしかなかったので、「わかりました。考えておきます。とりあえず麻雀しましょう。」
と言ってすべてを保留にするという一番無難なルートで麻雀を開始することができた。
先輩Ｄと同卓してるときに、国士無双を先輩から出アガリした。
「あちゃー」と叫んでいたが、どうせなら「僕に麻雀で勝ったらその話のんであげますよ（ｷﾘｯ」とか言っていたらよかった。言うわけないけど。

++++

麻雀も終わり、Dが「どうかな？セミナー参加しない？」と言ってきたので「また連絡しますね^^」と返したら、電話番号のメモを頂いたので「後で携帯に登録しますね」と言っておいた。なお登録は一度もしていない。

そして、Bと帰り道に「ありえないな」と話しあい、Cは「そうなの？」という反応だったので、「ちゃんと断れよ」と念押しした。

おそらくこちらの電話番号もAに聞いたのだろう、何度か電話がかかってきたが、知らない番号は基本的にスルーするので、そのうち諦めたのか電話はかかってこなくなった。

なお、Dが言っていたネットワークビジネスという言葉はその当時普及し始めた言葉であったようだ。後ににちゃんねるなどを見ると、そのときの大学生や社会人の悪徳商法の代名詞みたいになっていたようだ。

wikipediaで今その言葉を調べるとこうある。

ネットワークビジネス (network business) とは、次のいずれかである。
1.マルチ商法・MLMなど連鎖販売取引の総称。
2.コンピュータネットワーク、インターネット、情報通信技術（IT、ICT）に関するビジネス

Wikipedia「ネットワークビジネス」の項より引用

「マルチ商法やネズミ講とは一線を画しているんだ。」とは何だったのか。

おしまい。

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