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DX「2つの観点」に対する理解の差

はじめに

DXには2つの観点があると言われます。

  1. デジタルを使って、コストを下げる

  2. デジタルを使って、新たな売上を立てる

前者は理解が得られやすいのですが、後者はどうも理解が得られにくいようです。世の中では「DXとは1の意味であって、2は含まれない(2は対象外)」と理解されているような感じもしています。これはどうしてなのでしょうか? 世の中には

DXとは、本質的には2の意味なのであって、1の意味で使うべきではない

と指摘している人もすでにたくさんいます。それなのに、いまだにそうなっているのは何故なのか? そこに興味があります。

デジタルを使ったカイゼン=DXと理解している人は誰なのか

たとえば、以下の記事ではDXという言葉が広く使われる前には「2025年の壁」という言葉があったことに触れ、それとの関連について述べています。

「DXレポートが初めて出た2018年は、DXといえば『デラックス』の方がまだまだ一般的だった頃。当時は、新しいツールを導入するというよりは、レガシーシステムの維持面でコストが大きくなっていくことが予想されていた。そこでこの課題を『2025年の崖』という言葉で示し、まずはレガシーシステム維持のコストを下げて競争力のある投資に振り向けることをDXの一歩目とした」
(中略)
「2025年の崖という言葉がバズったことの裏返しとして、DXに幅広い解釈を生んでしまった。レガシーシステムを刷新すればDX、コスト削減により利ざやが増えて単価が下げられれば、結果的に競争力が上がるからDX、という解釈をする人も多かった」(田辺氏)

経産省「2025年の崖」レポートから2年半、担当者に聞く企業のDXが進まない理由
 | ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/266922?page=2

この頃はちょうど「モダナイゼーション」という言葉もよく聞かれました。要するに、システムリプレースの議論と合わせて説明する方が、説明する方も聞く方もいろいろと都合が良かったというのがあるのかもしれません。

赤信号、みんなで轢かれれば痛くない!?

物騒なタイトルですが、以下の記事を見ると、「結局自分から進んでDXを進めたくないのでは?」と勘ぐってしまいたくなります。

2020年は、待ち望んでいた「デジタル元年」のはずでしたが、同年に発表された調査データのことごとくが「デジタル化は進捗していない」ことを示していました。
最も強烈なメッセージだったのは、DXを加速するために企業のとるべきアクションと政府の対応策を検討した「DXレポート2(中間取りまとめ)」です。これは、「2025年の崖」でセンセーショナルを巻き起こした2018年発表の「DXレポート」の第2弾です。
今回も前回を上回る衝撃的なもので、DXについて部門横断的推進を持続的に実施しているいわゆるデジタル進捗企業は、わずか3.1%にすぎないと報告されました。デジタル進捗企業は、調査対象の223社のうちたった7社ということです。
この結果は、経済産業省が策定した各企業で簡易な自己診断を可能とする「DX推進指標」に基づいたものです。顧客満足度などの指標では、日本企業や日本人は他国に比較して厳しい結果になる傾向がありますが、それにしても3.1%は少ないといえます。同レポート内でも「我が国のDXへの取組は想定以上に遅れていることが明らかになった」と述べられています。
こうも少なすぎると、「バスに乗り遅れる危機感」よりも、ほとんどの企業でDXが進捗していない現実を見て、「赤信号みんなで渡れば怖くない」のごとく、「他社もできていなからいいや」と思う企業が増えてしまうことが心配です。どこからともなく「デジタル敗戦」の声が聞こえてきていることもうなずけます。

成功率わずか1桁、「デジタル敗戦」濃厚の日本企業のDX その行方は?:
IT革命 2.0~DX動向調査からのインサイトを探る - ITmedia エンタープライズ 
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/2104/05/news008.html

かつて、社内で本部長・副本部長などの幹部層向けに「経済産業省: DXレポート2(※後述)」を題材にしたディスカッションを企画し、実施したことがありました。

その際に出た意見として、以下のようなものがありました。

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