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ChatGPTは禁止すべきものなのか?
はじめに
今、最もホットなキーワードは「ChatGPTの業務への活用」でしょう。このサイトでは、既に主張している通り、ChatGPTは「使う/使わない」で考えるレベルではなく、「どうやって使うのが良いか?というベストプラクティスの探索段階」だという認識です。つまり、
「使わないとかありえないんですけど?」
という状態だと考えています。
ただ、実際には利用に躊躇しているところはたくさんあるようで、いまだ導入に向けて検討を始める企業がある一方で、ネガティブな反応を見せている企業や大学が多いのも実情で、なかには明確に「禁止」の動きを見せているところもあるようです。
これは、何故なのか?について、今回は考えていきます。
ChatGPTは嘘をつくかもしれないから禁止?
ChatGPTへのネガティブな反応の代表的なものとして「ChatGPTに聞いても間違った答が出てくる」というのものがあります。
僕の研究分野である将棋についてChatGPTに聞いてみたんですよ。そうしたら「日本固有のゲーム」と回答が始まった。正しいなと思っていたら、途中から「白と黒の駒を使う」とか言い出したのです。囲碁かチェスと間違えてるんですね。
さっき言ったように、論理的に分かって答えてるんじゃない。「将棋」と聞いたときに、ChatGPTのデータベースから同じ「日本のゲーム」に関連する囲碁の情報を引き出してしまう。チェスと将棋も非常に似たゲームなのでたくさん情報が出てくる。そして囲碁とチェスのどちらも「白と黒」って書いてあるんで、それを持ってきちゃったんでしょう。
そこで僕が「白と黒の駒は将棋じゃないですよね」と言うとChatGPTは素直に謝るんですけれど、謝った割にはまた同じことを言う。形成された論理構造を直せるわけではないので、ある確率でまた白と黒と言っちゃうんです。
:日経ビジネス電子版
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00537/040600016/?P=2
これは非常にわかりやすい例で、私も同様の結果を得たことがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1682143425589-JrlBi2yeZZ.png?width=800)
この中にある谷川浩司は、21歳(当時最年少)で名人位を獲得し、現在では十七世名人を襲名した棋士ではありますが、その獲得したタイトルに本因坊位が含まれているところで、この記述が嘘になっているとわかります。
これは推測ですが、ChatGPTは将棋の記事と囲碁の記事、もっといえば羽生善治や井山裕太に関する情報を学習した結果を、上の回答に利用しているはずです。「羽生善治の経歴」「藤井聡太ってどんな人?」のようなことを聞いても、事実とは全く違う答えが返ってきます。これはそもそも
GPTという技術がそもそも正解を出すためのものではない
ことに起因します。
嘘をつくとわかっていれば、どう使えるかが見えてくる
さて、ChatGPTは正解を導き出すものではないと改めて認識できたわけですが、要は使いようなわけで、ChatGPTもその性質が分かっていれば、それに適した使い方を考えればよいわけです。たとえば「誰が書いても同じようなアウトプットにしかならない」もの、たとえばメールやスピーチの文面は、まさにChatGPTに任せるのが正解です。
逆に、本当のことを言わないという性質を利用して「ChatGPTで正解ではない意見を出してもらい、そこから発想を広げる」という「アイデアの壁打ち」にも使えるはずです。
おわりに ~ 安いんだから使ってみれば、まずは使ってみればいい
とにかく、使い方がなによりも大事なのですが、まず
安いんだからガタガタ言ってないで使ってみりゃいいじゃん
と感じます。月額980円から提供してもらえるようです。
ユーザアカウント以外に文字数による従量課金もある(30円/1000字)とのことですが、1ヶ月30000万字使っても、合計で1ヶ月2000円=年間25000円にしかなりません。
以前、サラリーマンの人件費は1ヶ月100万円だと書きましたが、1年間の議事録タタキ作成やアイデアの壁打ち・分類・集約などの作業が、0.5人日の費用で済むなら「利用する」の一択ですね。
とにかく、日本の産・官・学すべてに言えることですが、ChatGPTを「禁止」している場合ではないと思います。
導入に向けて検討を始めているという記事が毎日のように発表されていますが、検討ではなく明日にでも導入して「まず使う」という姿勢をみせるべきでしょう。
逆に、いまだに禁止している団体に所属しているのであれば、禁止の理由が何なのかは一度深掘りして考える必要があるでしょう。
(この項つづく)
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