高血圧治療~Ca拮抗薬~
~医薬品情報~
アダラート
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00043804
セパミット
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00000444
アムロジン
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058775
ノルバスク
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058792
ランデル
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00044638
アテレック
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062065
ペルジピン
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00045616
バイミカード
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00008687
バイロテンシン
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00005058
ニバジール
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00004400
ヒポカ
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00004632
スプレンジール
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00001135
コニール
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00005939
カルスロット
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00002835
カルブロック
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049335
サプレスタ
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053062
ベック
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053407
ヘルベッサー
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051504
カデュエット
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057018
~高血圧治療~
~Ca拮抗薬の作用機序~
ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬
作用機序
・末梢血管や冠動脈を広げることで血圧を下げたり、狭心症の発作を予防する薬 血圧が上昇する原因の一つに血管の収縮がある
・血管においてカルシウムイオンが細胞内に入ると血管が収縮する
・本剤はカルシウムイオンが細胞内に入る過程を阻害し血管収縮を抑える
・ 薬剤によっては高血圧の他、狭心症に使用するものもある
詳しい薬理作用
血圧上昇の原因の一つに血管の収縮がある。
血管の収縮にはカルシウム(Ca)イオンが重要な役割を担っていて、カルシウムイオンが細胞内に入ると血管が収縮する。カルシウムイオンが細胞内に入るときにカルシウムチャネルという通り道があり、この通り道におけるカルシウムイオンの流入を阻害すると血管の収縮が阻害される。血管の収縮が阻害されると、血管が拡張し血圧が下がる。
本剤はカルシウムチャネルにおけるカルシウムイオンの流入を阻害することで、血管を拡張させ血圧を下げる作用をあらわす。
ジヒドロピリジン系のCa拮抗薬は主に末梢血管を拡張させるが、薬剤の中には冠動脈を拡張させる働きを示すものもあり、冠動脈が拡張すると心筋への血液の流れが改善できる。また本剤には心拍数を減らす作用もあるため、薬剤によっては高血圧症に加え、狭心症などの治療に使用されるものもある。
ベンゾジアゼピン系Ca拮抗薬
作用機序
・血管や心筋の細胞内へのカルシウムイオンの流入を阻害し、血管を広げ、心臓の負担を軽減する薬
・ 狭心症では血管が狭くなることで心臓に十分な酸素などが届かなくなっており、胸のしめつけや息苦しさなどがあらわれる
・血管の収縮や心臓の拍動はカルシウム(Ca)イオンの細胞内への流入が関与する
・本剤は血管や心筋でのCaイオンの流入を阻害する作用をあらわす
・ 薬剤によっては、頻脈性の不整脈や高血圧などへ使用するものもある
詳しい薬理作用
狭心症では血管が狭くなることで、心臓の筋肉に十分な酸素などが届かなくなっており、胸の締めしめつけや息苦しさなどの症状があらわれる。
血管の収縮にはカルシウム(Ca)イオンが重要な役割を担っていて、Caイオンが血管平滑筋の細胞内に入ると血管が収縮する。Caイオンが細胞内に入る時にCaチャネルという通り道があり、この通り道におけるCaイオンの流入を阻害すると血管の収縮が阻害できる。血管の収縮が阻害されると、血管が拡張する。
本剤は主に冠動脈(心臓に酸素や栄養を送る血管)のCaチャネルにおけるCaイオンの流入を拮抗的に阻害することで、冠動脈を拡張させ狭心症などの改善作用をあらわす。また心臓の拍動はCaイオンの流入が関与しており、本剤は心筋細胞内へのCaイオンの流入を阻害し、心臓の拍動を改善することにより不整脈における頻脈(脈がはやい状態)などを改善する作用をあらわす。
同じCa拮抗薬でもジヒドロピリジン系Ca拮抗薬が主に末消血管の拡張により血圧を下げるのに対し、本剤は主に冠動脈の拡張や心筋に対して作用する。ただし、ジルチアゼム(主な商品名:ヘルベッサー)は末梢血管の拡張作用も比較的あらわし高血圧症にも使用される。
~Ca拮抗薬の副作用~
動悸、頭痛、ほてり感、浮腫、歯肉肥厚、便秘がみられることがあります。
ジルチアゼムは心伝導系の抑制により徐脈や房室ブロックをきたすことがあり、β遮断薬との併用は避けた方が安全です(併用注意)。
~Ca拮抗薬とグレープフルーツ~
血圧を下げる薬を飲んでいる人は、どうしてグレープフルーツジュースをのんではいけないのか?
血圧を下げる薬でよく使われるカルシウム拮抗薬という薬剤の一部は、体にはいると、小腸または肝臓にある酵素で代謝されます。このように体内に吸収された薬物を代謝するシステムに大切な役割を果たす酵素系の一つはチトクロームP-450といわれています。
チトクロームP-450は細菌から植物,哺乳動物に至るまでのほとんどすべての生物にみられる分子量約45000から60000の酵素の総称した呼び名ですが、英語で書いたときのcytochrome P450の頭文字をとってCYPと略称されることも多いです。
肝臓において解毒を行うだけでなく、他の臓器、例えば腸、副腎にも存在してステロイドホルモンの生合成、脂肪酸の代謝など生物の様々な正常な活動に関わっています。グレープフルーツジュースに含まれる成分、フラボノイドやクマリン類は、この代謝酵素を阻害する働きがあるのです。
グレープフルーツジュースを血圧を下げる薬と一緒に飲むとどのようなことが起きる?
グレープフルーツの影響は、血圧を下げる薬の中でもよく使われるカルシウム拮抗薬という薬剤に対するものが有名です。そもそもグレープフルーツの影響は、カルシウム拮抗薬を服用している人で、グレープフルーツジュースを飲んでいない人に比べて、のんだ人で血圧が下がりすぎることが報告され、グレープフルーツジュースの成分に何か薬の代謝に影響を与える物質があるのではないかということで調べられたという経緯があります。
グレープフルーツジュースに含まれる成分は、小腸上皮細胞に発現しているCYP3A4の酵素活性を阻害します。そのためグレープフルーツジュースを一緒に飲むと薬の代謝が阻害され、小腸からの薬物の吸収が長引き、通常よりも大量の薬物が吸収されてしまうのです。また薬が長時間体内にとどまってしまう可能性もあります。その結果、カルシウム拮抗薬の血液中の濃度が高くなりすぎ、効果や副作用が強く出ることが示されています。このように薬物の代謝の阻害が起きると、場合によっては数倍量の薬を飲んだのと同等の濃度になってしまうことになり、血圧が下がりすぎたりや心拍数の増加などが起きる原因となってしまうのです。頭痛、顔面紅潮、めまい、ふらつきなどが出る人もいます。
グレープフルーツジュースだけが問題なの?柑橘類は全部いけないの?
グレープフルーツジュースのどの成分が影響しているのでしょう。CYPを阻害するフラボノイドやクマリン類は、ジュース(果汁)だけでなく、果肉自体にも含まれています。とりわけフラノクマリンはグレープフルーツの果肉の間の白い部分(アルベト)に最も多く含まれ、次いで果汁、種に含まれるとされています。
グレープフルーツ半分くらいなら余り問題にならないとの意見もありますが、作用には個人差があるので一概には言えません。またグレープフルーツに含まれるフラボノイドやクマリン類の量は品種、季節、産地など様々な要因に影響されます。例えば品種ではピンクや赤色のものよりも、白色のもので多いと言われています。
また同じ柑橘類でもハッサク、すだち、ざぼん(ぶんたん、ばんぺいゆなど)、だいだい、ぽんかん、いよかん、甘夏みかんなどは相互作用を起こすこともあるので注意が必要とされています。グレープフルーツとぶんたんをかけ合わせて出来たスウィーティーも注意が必要です。他方、かぼす、すだち、シラヌヒ(デコポン)、スイートオレンジには殆どふくまれていないと言われています。
しかし記載により影響があるとされる柑橘類には違いがあるようですし個別の判断も難しいので、影響をうける可能性の薬剤を飲む際にはグレープフルーツの摂取は避けるようにしたほうがよいでしょう。
どのくらいの間グレープフルーツジュースを避けたらよいの?
とくに注意しなくてはいけない点は、グレープフルーツの成分がCYP3A4に与える影響は比較的長く続き、数日間持続することもあるという点です。薬物代謝に対する影響を避けるためには、薬の投与前には3-4日はあけたほうがよいともいわれています。ですから、例えば朝にグレープフルーツを摂るのを止めたとしても、その前日に摂ったグレープフルーツの影響が残っていて、夕方に飲む薬の代謝に影響が出てしまうこともあるのです。
降圧薬は基本的に毎日のむ薬ですので、こうした影響を避けるためにはグレープフルーツはとらないようにしたほうがよいでしょう。このようなグレープフルーツに影響を受ける薬を服用する際によく医師や薬剤師からの説明を聞き、心配や不安があれば、必ず相談の上、指導をきちんと守って薬を服用して下さい。
~各Ca拮抗薬の違い~
アムロジン ノルバスク
・OD錠があり、嚥下作用が低下した患者などへのメリットが考えられる
・本剤の成分(アムロジピン)と他剤との配合製剤に関して ARBとの配合剤(エックスフォージ配合錠、ユニシア配合錠、ミカムロ配合錠など)がある
・ARB及びサイアザイド系利尿薬との配合剤(ミカトリオ配合錠)がある
・スタチン(脂質異常症治療薬)との配合剤(主な商品名:カデュエット配合錠)がある
グレープフルーツジュースによる影響は他成分のCa拮抗薬より少ないとされる
アダラート
・カプセル剤、L錠(徐放性製剤)、CR錠(L錠より持続性がある徐放性製剤)がある
アテレック
・ARBとの配合剤(アテディオ配合錠)がある
カルブロック
・ARBとの配合剤(レザルタス配合錠)がある
コニール
・腎臓や心血管の保護作用などもあるとされる
ベンゾジアゼピン系Ca拮抗薬
ヘルベッサー
・ジルチアゼム製剤
・錠剤とカプセル剤(徐放性製剤:ヘルベッサーR)は主に狭心症や高血圧に使用する
・注射剤もあり、頻脈性の不整脈などに使用する場合もある
・グレープフルーツジュースとの飲み合わせ(内服薬に関して) グレープフルーツジュース摂取による本剤への影響はほぼないとされる
ワソラン
・ベラパミル製剤
・錠剤と注射剤があり、用途などに合わせて選択が可能
・錠剤は心筋梗塞(急性期を除く)などに使用する場合もある
・グレープフルーツジュースとの飲み合わせ(内服薬に関して) グレープフルーツジュース摂取により本剤の血中濃度が上昇し作用増強の可能性が考えられるため注意する
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