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マイクロソフトフライトシミュレータでのIFR国内最短ルートを探す

前回に続き、マイクロソフトフライトシミュレータの話題です。

このゲームの魅力の1つは、実際の旅客機のように計器飛行(IFR)の雰囲気を味わえる点です。フライトプランを決め、航空管制からの指示に従って飛べます。

今回は計器飛行で飛べる、国内の最短路線を探すお話です(本当はこの記事から書き始めたのですが、内容がディープになりすぎたので、急遽、前回の記事を追加したのでした)。

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旅客機の計器飛行

このゲームには、標準状態でエアバスA320neo、ボーイング747-8などの商用ジェット機が収録されています。
こうした旅客機では計器飛行の雰囲気を味わいたくなります。

こちらは着陸が近いときの計器の表示です。
無線標識に沿った経路を飛び、到着時には計器着陸装置(ILS)の誘導パスに従って着陸します。

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せっかくなので着陸時にはILSを使いたいところですが、ILSが整備されている滑走路は限られます。
あの新千歳空港ですら一部滑走路では整備中とのことです。

ゲーム開始時には、次のような画面でフライトプランを作成できます。
飛行経路はコックピットのフライトコンピュータ(FMS)から、手打ち入力もできるみたいですが、素人の私には少々敷居が高いので、こちらの画面で自動設定しています。

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これは成田空港を出発し、羽田空港の滑走路23に「アプローチ(ILS23-Y)」方式で降りるコースです。現実世界でも南風が強いときには、こんな感じで東京ディズニーランドの近くを飛ぶことがあったと思います(今は都心側から?)。

コース上の紫色の部分は、着陸方式によって決まります。
空港間の直線距離が短くても、方式によっては大回りで距離が長くなります。

世界中の地形や気候に加えて、各飛行機の飛行特性、実機を模した計器類や飛行管理装置など、このゲームには一体どれだけの要素が作り込まれているのだろうと感心してしまいます。

最短路線を探す

というわけで、ようやく本題です。

計器飛行で飛ぶと雰囲気が出るのですが、現実と同じ時間がかかってしまう問題があります。
例えば、羽田から福岡をプレイすると、2時間かかります。

さすがにそれでは困るので、手軽に計器飛行を楽しめる短距離の路線を探したいと思っていました。今回はフライト時間が短く、かつ、着陸時に計器着陸装置(ILS)が使えるような路線を探します。

2つの空港が離れていてもダメ、ILSが未整備の滑走路に降りるのもダメ、 アプローチコースが遠回りになるのもダメと、結構厳しい制約で短距離路線を探します。

日本の空港の分析
まず空港を認識するところから始めます。
国土交通省のWebサイトから、空港の位置情報をダウンロードしました。
データを読み込んで解析すると、日本全国の主要96空港の緯度経度をプログラム上で処理できるようになりした。

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組み合わせを確認
これらの空港のすべての組み合わせについて、緯度経度から直線距離[km]を計算します。

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そして、距離[km]が短い順にリストアップします。

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アプローチコースの確認
空港の組み合わせは4560通りありますが、それぞれについて出発地と到着地を入れ替えながら、到着地でILSが使え、かつ、短距離のアプローチが可能なルートをフライトシミュレータ上で探していきます。

空港の直線距離が短くても飛行時間が短いとは限りません。
例えば宮古空港→下地島空港は直線距離が短いですが、アプローチILS17-Yのコースは、大回りになるため(オーバーヘッドアプローチですね)、飛行距離が長くなってしまいます。その他のアプローチも同様の傾向でした。

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下地島は、かつて商用パイロットの離着陸訓練が行われていた航空機マニアの聖地です。空港の周辺は「慶良間ブルー」(違うけど)がきれいなので、これはこれで楽しめます。

見つかったIFR短距離路線

このように組み合わせを確認したところ、次の2路線が見つかりました。

成田国際空港→百里飛行場(ILS03R-W)
こちらは飛行時間が約10分の究極のコースです。
百里飛行場(茨城空港)の03R滑走路には、ごく短距離でILSアプローチできる方式ILS03R-Wがあり、それが成田空港側を向いています。
おそらくこれが、今回の条件に合った主要空港間での国内最短路線だと思います。

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ちなみに、霞ヶ浦周辺には多くの小型機用の空港があります。
龍ケ崎飛行場の出発にすると、直線距離25マイルが19マイルにまで縮まり、飛行時間約6分のIFRルート(しかもILSまで使える!)になります。
もっとも、滑走路が800mしかないので、A320で離陸するには多少無理がありますが……。

中部国際空港→名古屋飛行場(ILS34-Z)
もう1つ、短距離の経路が見つかりました。
名古屋飛行場も短距離でのアプローチができる方式がありました。
先ほどより距離は少し長くなりますが、高度が高めで途中の旋回が深くなるため、飛んでいる感覚がより強くなります。
海上空港から都市部に変わる景色の変化も楽しいところです。

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まとめ

今回は短距離ルート2つが見つかりました。
百里飛行場、名古屋飛行場とも、飛行時間が約10分と、空き時間にプレイしたいときにはちょうど良いと思います。

先日、現役エアバスパイロットのキャプテン ジョーさんが、過去に仕事で飛んだ最短ルートをフライトシミュレータ上で再現する動画を公開されていました。

こちらは小松空港から名古屋飛行場の直線距離134kmのフライトです。
動画を見ていると楽しくてあっという間ですが、自分で同じ路線をプレイするとこれでも間が持ちそうにありません(私、どれだけ気が短いんだ)。

今回の見つけたルートはいずれも直線距離45kmと、もはや現実味がなくなっていますが、最も楽しい離着陸だけを、ゲームとして効率よく楽しみたい場合にはちょうど良いのではないでしょうか。

マクロソフトフライトシミュレータをプレイしている方は、この2路線、是非お試しください。

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