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外為法手続き電子化

外為法手続き電子化
~ペーパーレス / 印鑑0に向けて~

昨年8月からの法改正により、
IT分野・インターネット分野への適用が
追加になったことを受け、
スタートアップ業界、VC業界で話題になった、
外為法に基づく対内直接投資に伴う事前届出について、
実務の観点からコメントしたいと思います。


(1)外為法に基づく「対内直接投資」

AZX高田先生の警鐘で気づかせていただき、
社内でもしっかり調べて運用を開始しています。
(2週間の期間短縮についても詳細の記載があります。)

直近で2020年6月施行の改正についても
丁寧に解説いただいております。

■外為法上の事前届出対象業種の拡大によるベンチャー投資実務への影響
| AZX Super Highway(AZXブログ)

■外為法改正(2020年5月施行)のベンチャー投資実務への影響
| AZX Super Highway(AZXブログ)


(2)実務の手続きは原則“紙”??

ただ、こちらの運用は、
原則、プリントアウトして会社の印鑑を押して、
直接、日本銀行の窓口へ持ち込むか、郵送か、
という対応になっています。

そんな中、コロナの影響もあり、
紙・印鑑を利用することなく、
出社せずに対応できないかを突き詰めて検証していた結果、
電子報告の方法があることがわかりました。

各省庁や日本銀行に確認する際にも
特に案内がなかったのですが、
久しぶりに日本銀行への持ち込みをすることがあり、
窓口にふと目を向けたら、

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「オンライン対応できる!!」

ことがわかりました。

※これまで、界隈でも、リーガルの方々からも、
オンライン報告を利用されている話を聞いたことがなく、
「対内直接投資」には使えないのかと思っていたのですが、
「様式11」「様式19」など、
普段利用しているフォーマットに利用可能だったようです。

報告手続きの電子化 : 日本銀行 Bank of Japan

※元々、HPには案内があったようですので、
見つけ出した!というのが正しい状況です。


(3)何が電子報告できるの?

「対内直接投資」においては、
(A)事前届出業種に該当する場合は、
①事前届出と②実行報告の2つの手続きが必要で、
(B)事後届出業種のみに該当する場合は、
③事後実行報告の手続きが必要になります。

この①②③のなかで、
②「ex.様式19」③「ex.様式11」の2つが
電子による報告が可能です。

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(4)システム化への格闘

IDPWの発行依頼の際にも、
「何に使う予定ですか??」という電話での確認があったり、
発行後も大量の紙でのマニュアルが届いて、
そもそも、デフォルトの手続きの正解がわからないので、
事前設定準備の攻略に手間取りましたが、
国際局 国際収支課外為法手続グループの方々、
外為法手続きオンラインシステムヘルプデスクの方々に
相談しながら、何とか実装できました。

■照会先一覧 : 日本銀行 Bank of Japan

※ちなみに、紙で届いたマニュアルは、
ログイン後の外為法オンラインのサイトに掲載されているようです。

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(5)法改正に伴うペーパーレス加速

今回の外為法改正でペーパーレスの加速が進んでいます。
8月改正による適用で申請を開始した当初は、

①(印刷+ホッチキス止め+製本+押印)×(該当事業所管大臣分※+日本銀行分+控え)×郵送

だったのが、

②(印刷+ホッチキス止め+押印)×(該当事業所管大臣分※+日本銀行分+控え)×郵送
※対象会社の係る事業の所管省庁が2つなら2部でよいが、8つあると8部用意が必要。

と「製本」がいらなくなり、
今回の改正で、フォーマットが変わり

③(印刷+ホッチキス止め+押印)×(該当事業所管大臣分1部+日本銀行分+控え)×郵送

と後半が3セットでよくなりました。

(6)行政の電子化

各省庁への提出手続きの電子化は、
各企業のリモート対応への取り組みが相乗効果となって、
電子政府の総合窓口e-Govで進められてきていて、
実は「オンラインやってる」「電子対応可能だった!」
みたいなことがほかにもあるんじゃないかと思っています。

外為法の届出は特に紙の使用が多い手続きで、
圧倒的な削減ができそうな取り組みなので、
対象の方は是非取り組んでみていただければと思います。

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