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オタク生活55年が語る若きクリエイターを”AWAKING"=覚醒させるヒント㊼

週末版 槇村さとる さんが生み出した2人のヒロイン
『ダンシング・ゼネレーション』 萩原愛子の挑戦する姿に憧れた日

さて、昨日の続きです。
1980年の秋、森山亜季実が、強烈な『愛のアランフェス』を滑り切った感動の後、あまりにものロス感で、ハーブ・アルバートのアルバム“RISE”の中の“アランフェス”に合わせた妄想『愛のアランフェス』PVの絵コンテなどを描いてニンマリしていた僕の前に、新たなヒロインが登場します。

別マ 1981年4月号 僕が高3になる春
天才フィギュアスケーターの娘とかではなく、友達の付き添いでダンスのオーディション会場に現れた普通の女子高生(16歳)として『ダンシング・ゼネレーション』のヒロイン・萩原愛子は現れました。そのヘアスタイルは、肩にかからない程度のショートボブ。第一印象は、お、普通にカワイイぞ。ジャズダンスだし、高校生活も有りの話で(高3の自分には)年下だし、親近感あるヒロインだな でした

で、スタートから20ページもの間(笑)可愛いけど、踊る意思を見せずに見学していた愛子は、突如、オーディションの審査員をしていた一流ダンサー・神崎の“踊れるだろ?”の問いかけに“クラシック 10年!”と言い返してしまい、反抗的な態度で踊りだします。そのダンスシーンは「アランフェス」で見せた、踊るプロポーションとアクション作画で非常に爽快なシーンが展開します。
再度、読み返して気づいたのだが、このシーン、ヒロインの初のダンスシーンなのに、大コマで迫力ある踊りをさせず、様々なステップを踏むシーンを連続して描いて表現している。今、考えると、これは大きな前振りですね。
踊り終えた愛子が、小馬鹿にしたような神崎の拍手に平手打ち。それをイケメンのディスコダンサー・慎が笑いながら見ている。それがオーディションシーンの最後。そして3ページ後には、全員オーディションに落選。
過酷な現実が突きつけられる…。

それが、続編『N・Yバード』のラスト(1983年10月号掲載)では、ブロードウェイのヒットミュージカルのメインダンサーを神崎・慎とともに務める萩原愛子のスタートラインです。えっと、こちらも無料お試しで是非!

昨日の記事で書いたように『愛のアランフェス』に関しては、途中の回を目にして気になり、一気に800ページ読破してから、最後のクライマックスを毎月、楽しみにして感動のフィナーレを迎えました。
対して『ダンシング・ゼネレーション』は、月刊で、この先どうなるのだろう?彼女は、どう生きるのだろう?と追いかけた日々でした。高校3年生から大学1年の夏(並行して声優たちが所属する劇団の研究生でもありました)まで、出会った時から(作中の彼女が、実時間より早く成長するので)その生き様を共に見てきた存在でした。

『ダンシング・ゼネレーション』の最終回は、第一話を思わせるシーンと、新たな“ダンシング・ゼネレーション”のスタートを予感させて終わります。ネタバレになるから言わないが、ラストページは、萩原愛子のストーリーの終着点としては素晴らしい1ページです。続編がある事が解っている今でも、このラストを変えて欲しいとは絶対に思わない。

続編『N・Yバード』は、同年の11月からスタートしましたが、劇中では1年以上が過ぎていて、更に華やかな舞台での愛憎劇が展開しました。で、この“萩原愛子”ストーリーは『ダンシング・ゼネレーション』では師匠、同僚・恋人として、愛子の成長のサポート役として機能してきた神崎と慎が、愛子と共にドロドロの生き様を見せていきます。
今、読み返してみても“いや、少女マンガだよな”“なんだ、栄光からの転落と挫折”“楽しく復活させてくれないなぁ”と思うシーンの連続です。
で、こちらも又、『愛のアランフェス』同様に、男性陣の描き方がうまく、異性のヒロイン・萩原愛子の生きざまに感情移入するだけでなく『N・Yバード』では神崎と慎に感情移入(ほぼ『N・Yバード』後半2回は慎の話だもんな)していきました。
『N・Yバード』のラストカットの萩原愛子は、肩甲骨より下まで伸ばしたロングヘア―。『ダンシング・ゼネレーション』がスタートした時のショートボブからの髪型の変化は、そのまま彼女の成長を感じさせてくれました。
今、読み返すと、こののちアマチュアからプロのエンターテインメント産業に向かう自分にとっては、結構な親近感を掻き立てるバイブル的存在だったのだな。と思います。

ちなみに『私のマーガレット展』では『愛のアランフェス』から1m移動して、第一話のカラー扉絵を見た瞬間、再び泣き出す始末でした。

思い返してみると『愛のアランフェス』、『ダンシング・ゼネレーション』『N・Yバード』共に、連載時から男女キャラ双方に感情移入した稀有な作品かもしれません。(例えば、同じ少女マンガのスポ根でも『エースをねらえ!』なら、宗像コーチに感情移入して、岡ひろみには感情移入したことが無い)それだけ、話として整っていたのかもしtレませんね。
槇村先生は、この3作品の後、ライトテイストな作品を描くようになっているので『おいしい関係』などのイメージが強い方には別種の作品と映るかもです。

昭和のヒロインの生きざま!ぜひ、皆様にも共感頂ければです

PS 僕がアクションポーズも模写するようになったのは、森山亜季実と萩原愛子のおかげです。久しぶりに描いてみますかね(笑)


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