雄踏に鉄道を!

 浜松市の西のほう、浜名湖の近くに雄踏町はある。
温泉があり、ロイヤルホテルがあり、住民も多いこの地域は東海道線が付近を経由しているにもかかわらず中途半端に不便なところである。
 バスは渋滞に巻き込まれて遅延は日常。主要道路は浜松や豊橋へ向かう人々でごった返す。東海道線は駅間が長いがために多くの需要を拾えない。
 しかし需要はあるのである。

 ここならば活気のある地方架空私鉄が作れるのではないかと私は浜松在住の方に打診された。

 雄踏は正直思い入れのある地であるから私もノリノリになりこの計画はスタートした。

とりあえず奥山線が戦後すぐまで浜松鉄道という別会社であったことを利用し、雄踏線と奥山線で遠鉄とは違う鉄道として存続するという方針が立った。

 しかしながらこの案は浜松鉄道が赤字マシマシ経営カラメ利点ナシであったことから却下。

そこで豊橋からチャリを漕いで浜松の中央図書館に突撃したところ、おもしろい情報を得た。
想定していたルートと全く同じルートで鉄道免許が出願されているのである。その名を「雄踏町営鉄道」という。
読んで字の如く雄踏町営の鉄道ということだが、
曰くこういうことらしい。

・東海道線から外れてしまい、発展の恩恵を受けられていない
・一日数往復程度の乗合バスでは話にならない
・鉄道開業のためならば無償で土地を提供する。これは町民の意志である
・遠州電気鉄道と浜松鉄道に協力を依頼した

これがない、ということはまぁお察しの通り未成線であるわけだが、この計画からわずか二年後、昭和恐慌が発生し、この計画はモチのロン吹き飛んで消滅した。
 この計画、どうやら町政施行をしたために今後を見据え出願したらしいのだが、町への格上げは5年前に達成しており、やや不可思議な点である。
ひょっとすると免許認可がこの年であるのかもしれない。
 もし町政施行と同時に建設に着手できたなら開業できた可能性は大いにあるとされる。

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