満員電車

日々あなたの帰りを待つ
ただそれだけでいいと思えた
赤から青に変わるの頃に
あなたに出逢えた
この街の名は、東京

きのこ帝国のこの曲が頭の中で再生される。

なぜかって、私は今東京にいる。

8時半の高速バスに乗る予定なので、朝早くに先輩の家を出た。

そして、人生初の東京の満員電車を経験することになる。

先輩の自宅の最寄駅の改札はディズニーランドの入口ぐらい人が密集していた。

大袈裟ではなく、それくらい人が多くて私自身面食らった。

人が多いという観点では同じだけれども、明確に違うことがある。

今、目の前にしている彼らは夢の国に向かうのではなく、お金を稼ぐために働きにゲートをくぐっているのだ。

私は満員電車に揺られてバスタ新宿を目指す。
電車の中は沢山のサラリーマンや学生で密集している。

資格の勉強をしている人、携帯でニュースをチェックする人、ゲームをする人。

ぎゅうぎゅうの満員電車の中で、一人一人が思い思いの時間を過ごしている。

自分のポジションを確保するために体に力を入れないと、どんどん押し込まれて端に寄せられてしまう。

これが東京の満員電車なのか。

駅に着いたらドア側の人は一旦出て、乗客が降りてからもう一度乗り直す。

自分が麻雀牌になってシャッフルされているような感覚になる。

今度は中央付近に配置された。

右隣の中年の男性は資料を読み込んでいる。
これから営業でも行くのだろうか。

私の先輩もそうだが、東京に住むサラリーマンは毎日こんな生活を送っているのだと思うと頭が上がらなくなる。

昨日酔った先輩が言ってたことを思い出す。

「よく満員電車で死んだ顔している人にはなりたくないとか言うけどさ、世の中のサラリーマンはみんな頑張ってるんだよ。」

本当にその通りに思えた。

そう考えると右隣の中年サラリーマンが急に偉大に思えてきた。

「いつもお疲れ様です」と心の中で声をかける。

30分くらい満員電車に揺られて、新宿に着いたときにはとても酔っていた。

電車に酔ったというより、人に酔った気がする。

こんな生活毎日送るなんて私には到底無理な気がする。

来年から私も毎日仕事に追われるのかと思うと恐ろしくなった。



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