隠蔽、それは時と場合による
Netflixで配信されている戦争ドキュメンタリー『WWII最前線: カラーで甦る第二次世界大戦』(英題:Greatest Events of WWII in Colour)
コロナ流行の影響でことごとく週末の予定がキャンセルになる中、やっとのことで全10話を消化した。まともに見ていると8時間弱かかるので3倍速で。
改めてWWⅡを振り返るてみると、日本の義務教育は大東亜戦争や対アメリカとの関係性に重きを置いていて、ヨーロッパで何が起きていたのか結構端折っていることに気付く。(※これ戦時中も一緒じゃね)
『歴史は必ず繰り返す。その流れを意識して今がどんな違いか見極めよ』という言葉をある知識人のご家族から頂いたことがある。もちろんSNSを介して人づてに質問したのでそれが本人だったのかは定かではない。
しかしWWⅡの歴史をお手軽に振り返るだけでも、今が本質的には戦時下と何も変わっていないことを痛感する。
起きた出来事をどのように民衆に伝えるのかという点においては特にそうだ。
S1E9 ブーヘンヴァルト強制収容所の解放
1945年4月12日、ドイツのブーヘンヴァルト強制収容所が開放されると連合国軍からアイゼンハワー、パットン、ブラッドレーが訪問。パットンは光景を見て建物の影で嘔吐したと言われている。
ここに登場するアイゼンハワー将軍とは言わずもがな1953年に合衆国大統領になる人物である。
ホロコーストの凄惨な現実を前にして記録と公表、さらには否定論の登場までを見透していたとは。人間性に対する深い洞察力を持ち合わせていることがわかる。
しかしWWⅡではホロコースト以外にも大量虐殺が起きている。
S1E10 ヒロシマ
米国はホロコーストを断罪しておきながら、広島長崎の虐殺はひた隠してきたという歴史が明らかにされている。
1970年代になって米国で当時の様子が広く知られるようになったとされている。厳密に言うとこれらの映像は1968年になって米国ナショナルアーカイブから発見されたそうだ。
こちらが米軍指揮のもと日本人カメラマンが撮影した広島と長崎の映像。YouTubeは様々な思想の視聴者がいるだけに「原爆を落したことは正しかった」「この映像は1970年代初頭にテレビ放映されたもので何ら秘密ではない」などの英語コメントが並んでいる。
ここで善悪の議論をするつもりはない。
ホロコーストであれ原爆投下であれ「罪なき人間が数多く殺された」という事実は揺らぐことがない。しかしその事実を前にして人は時に清廉潔白に、時に狡猾に振る舞うということをよく表している。
自分が圧倒的な正義であることを証明するために敵の悪を暴く。
その反対に自分の圧倒的な悪を隠すために正義であるかのように振る舞う。
歴史は繰り返す。
隠蔽、それは時と場合によるのだ。
おやすみなさい。
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