見出し画像

【マッチレビュー】 FC町田ゼルビア 2023年第37節 いわきFC戦〜町田を破った、我々の見慣れたロジック

こんにちわこんばんわ。ひだりです。

日曜日、爆走!ティラノサウルスレース いわきFC戦はみなさまお疲れ様でした。(ティラノサウルスレースも超楽しかった子供も大喜びでした。紫の幼年ティラノさん転んじゃって大丈夫だった?娘が心配してました。お疲れ様でした!)

強度で戦う町田相手に戦うにはそれを超える強度。見事でした。
J2残留圏確保までもう少しのところ、相対するは首位町田。前監督およびコーチ陣の古巣にして、走ること・闘うことでトップを目指した約束の地・野津田。今のいわきからすれば、魂の息吹くフットボールを見せる上で今季これ以上の舞台はなかったのかもしれない。

今回、本当に悔しすぎた、悔しすぎたので、今節、ちょっと振り返ります。敗戦こそ大事、今回の町田はすごく良い負けっぷりだったので、記録がてら、はじめてマッチレビューの試みです。どこまで解析できているか微妙な書き殴り(特に後半)ですが、試合からあまり時間をかけるのもなんなので、エイヤで出してみます。よろしくお願いします。


前半

効果的だったいわきの最終ライン押し上げ

前半から町田のセットプレイ、ロングボールを入れるタイミングでのいわきのラインの押し上げが効果的だった。町田がロングボールを跳ね返された後、第2撃のロングボールを入れるところでオフサイド誘発。

いわき最終ラインの粛々とした押し上げが中盤エリアの密集度を高め、かつ町田アタッカーのオフサイドを誘発する効果を発していた。

このライン取りで密集領域での戦いを強いるアプローチは村主いわき前監督、小林コーチ、武田GKコーチが在籍した2018年ゼルビアのコンパクトフィールド、縦横超圧縮を構成した主要素のひとつ。密集地帯で相手ボール保持者に襲いかかり時間を与えないハイプレス。あまりにも見慣れた景色。

ジャッジ傾向とのアンマッチ

前半序盤からいわきの物怖じしないフィジカルプレイ、ファウルを含む球際コンタクトとそれに対する審判の判定&直接FK与えての失点がチリツモになって町田選手のメンタル・プレイの消極性に繋がった。

これは単に悔しいだけでもあるけれど、前半20分頃までは14番山口の2連続ファウルなどイエロー出ておかしくないチャンスの潰し、お互い様の範囲ではあるが、もう少し審判に管理してほしかったところ。
(山口は3失点直後の町田ロングスローからのゴール前セットプレイで平河にアフター気味の頭突きもしていた。ゴール前での決死のアクション自体は認めざるを得ないものの、折々厳しいコンタクトが目立ち、町田にとって出場時間中通して嫌な選手だった。)

今節は審判団の呼吸と町田のアクションがいまいち合わない場面も多く、以後、試合終了まで尾を引くことになった。
ただ、おそらく、そうした試合の流れを呼び込んだのは、まっすぐに走り続けたいわきの姿勢であり、ゼルビア側が圧に窮した時間の長さ。

町田の中央打開プランの圧殺

町田攻撃時の縦パスやフリックの変化が

  • 相手進行方向に対して真正面を押さえる身体の向き

  • プレス役守備者によるあと半歩の距離感の詰め(+しっかり連動してフォローに走る他の選手)

を徹底するいわき相手に、町田がつないで前進したいところでボールがひっかかり、有効に敵陣に持ち込めない。逆に、町田の前進1歩目が度々ショートカウンターの起点となっていた。

いわきとしては群馬が見せたような横方向のベクトルを噛ませた方がプレスはかけにくかった気はするが、デュークを前線に残し、藤尾と近い距離感で攻撃に差し向けたい町田の攻撃の狙いと、中盤封殺から下田を軸に数的有利も活かして効果的なポゼッションを展開したいわきの出方がモロに噛み合ってしまった。

都度都度最終ライン脅かされるため、サイドバックも高い位置を取りきれない。だから余計に前につなげなかった。

町田側が攻め手に迷い、防戦対応に終始する一方、イーブンか多少不利なボールでもすかさずスプリントを繰り返すいわき。五分のボールを持っていかれる。
中盤が苦しいから浮き玉打開を図ろうとすればそもそもいわきの選手がヘディングも強く、身体を当ててもそうそうブレずにセカンドボールを拾われる。

松井にとって試練の試合

松井は直接FK失点につながったバックチャージや失点後の強引な前進パス狙いが引っかかりカウンターを食うなど、少し若さが出た気配。

2失点目の谷村ミドルも一番近い位置で身体を当てられなかった。あの場面では正面方向にいた安井も行けたかもしれない。
前半の40分程、いわきの勢いを受け続け、蓄積したダメージが瞬間の判断の迷い、遅れとして出た感がある。

ボランチがカバーしづらいスペースに、1人2人3人と侵食・勢い持って入るアクションを繰り返したいわきが上手だった。

中盤における数的優位と個人技術の駆使

いわきの4141で分厚い中盤封殺+下田を筆頭としたボールを受けて剥がす、剥がしてズレた町田守備陣のスペースを取る動きが秀逸。

SBの山下、宮本は元々ボランチの選手という話も出ていましたが、狭いスペースで受けて、ハズして展開する。それを中盤で実現できる選手が非常に多く、2列目4枚+アンカー下田の数的優位、走力の活用と合わせて、町田を後手に回しプレスに行くことすら難しい状況を作った。

1失点目の直接FK獲得につなげたいわきのポジトラ局面は、敵軍ながら映像で振り返っても非常に勇敢で美しい攻撃だった。残念ながらDAZNハイライトにも入っていないですが、試合時間としては27分30秒 福井の間接フリーキックからはじまるシーン。
奪われるべくして奪われたファウルだったと思う。

後半

ゼルビア前半キックオフ時の狙いを完遂するいわき

いわきのサイド狙ったロングボール、跳ね返して安井からカウンターに入ろうとしたところ、いわきCB遠藤がデュークのフリックパスをインターセプト、前にボールを当てそのままハーフスペース・サイド攻略、クロスでガラ空きの中央に、先ほどインターセプトしたCB遠藤がうまく入り込んでフィニッシュ。

ゼルビアが前半開始時にやろうとしていたことをまるっとやられてしまった。

今節のいわき相手に中央で連携打開は危険度が高く、方向を変えたい後半立ち上がりにも関わらず、前半同様のやり方で入ってしまったのが痛かった。

チャンミンギュの得点で1点取り返す

50分、セットプレイで我らがDFストライカー・チャンミンギュ得点。
試合終盤のチャンスも含め、ゴール前でのチャンミンギュの得点感覚はいったいなんなんだってくらい頭抜けている。彼の思い切りの良さなのか。

51分、谷村、鈴木の正面プレスを強引に前進し突破、有田にクロスも合わせられず失点は回避。でもいわきの素晴らしい形。町田はまたしてもいわきのパワフルな前進を前に、正面のやり合いをモノにできない。超絶オープンな展開。

54分翁長ファウルからセットプレイ。こぼれ吉沢は枠から外すが町田にとってはラッキー。こぼれに反応できている選手がいなかった。

56分、いわきがタッチライン割りそうなボールを懸命に追いかけ残そうとする。結果的にラインを割ったもののオンプレイ続いていたら大ピンチだった。いわきの諦めないランニングは本当に見事。

荒木投入、343でいわきとの噛み合わせ改善

60分荒木IN以降、343気味フォーメーションにしていわきとの噛み合わせ改善。いわき側が後5枚を敷いても各自プレスが可能になる。

いわきのスプリントコーチ秋本さんの指摘。町田としては荒木を入れてフォーメーションを変えてやっと出た、想定したカウンター攻撃の形。でもそこをわかってて守り切るいわきのスタイルは全くその通りなのだろうな。
町田が縦横超圧縮の時代、相手の逆サイド展開は高速スライドの餌食にできるので、苦手であると同時に好物だった。

69分自陣でいわきゴール前のつなぎ、逆サイド展開でペナルティエリアでボール受けられピンチとなるも3CBが中央を守りMFも相手FW前を塞ぐ守備でシュートさせず。
最後ミドルシュート打たせてしまうが、良い町田の守備が戻ってきた。

相手がさまざま打ち出してくる出方に対して、どう塞げば町田の良い守備ができるか、は次節甲府戦でもかなり重要な課題。

73分SJといわき石田、絡んで石田out。身体を入れるところ、石田もSJとボールの間に足から入った流れからSJの足がふくらはぎに当たり筋肉トラブルとなったか。

75分頃、荒木の賢さが機能し出し、攻撃の連動が機能しはじめる。

81分町田のファウル。バイロン、相手の仕掛けに対して足で行って引っ掛けてしまった。今節はファウルの質が各所で試合の流れに大きく影響した。球際の制し方、対応は個人としてチームとして再確認しておきたい。

逆にいわきは自陣ゴール前は囲い込みでファウルを避け、中盤では個の対応で町田進撃を食い止める等ファウルをうまく使った。身体の使い方がやはり長けていた。
かつての町田を見ているようなスタイルに少し胸が痛む。いわきサポは楽しい時期だろうなぁ。

バイロン→SJ→デュークのサイド攻略であと1点

85分バイロン、コーナー付近でタメを作ってSJに落としダイレクトクロスにデュークが合わせてゴール。バイロンとデュークの相性の良さは意識的に活かしたい。 ※初出バイロン→デュークと誤認していたところ修正しました。失礼しました。@TWH9 さんご指摘ありがとうございました。


88分バイロン、ファウル受けてセットプレイ。SJキックからのチャンミンギュGK前でヘディング合わすも惜しい枠外。決めきってたらマジでミンギュ祭だった。

試合終了。


チーム、選手、地域に寄り添う田村雄三監督コメントが素晴らしくて、細やかな試合の設計含めてエモーションも掴めるのは、実に良い監督だなと思った。

今節のMVP

直接FK決めた山下、3点目のボール奪取から得点まで取り切った遠藤、ゲームをコントロールした下田、前目で身体を張って町田ゴールを脅かし続けた吉澤や谷村は当然褒められるとして、個人的にはいわき14番・山口の奮闘に拍手を送りたい。

数字的な結果はないものの、覚悟の決まった懸命な1プレイ1プレイが試合の空気を絶対に町田に渡さない気概を醸していた。ボール持つ福井に果敢にハイプレス掛ける姿は、上位の松本山雅や長崎、福岡を相手に立ち向かったコージやマキトの姿も重なり、交代してくれた時、やっといなくなると正直ホッとしました。

対戦相手としてマジむかついたけど、雑草魂を強く感じて一番イヤだった。こちらに空気を掴ませない良い仕事でした。勝利おめでとう。

総括

現地で見た印象は上記だったのだけど、DAZNで見直してみると、少しだけ印象が違った。
前勝負に持ち込むべきだった、というより、前勝負に持ち込ませてもらえなかったが正しかったっぽい。

デューク、藤尾、沼田、平河ら前目のアタッカーは、むしろ裏を取る準備で高めのポジショニング、そもそも前で勝負する準備をしていた。

それでも町田アタッカーの裏取りを恐れぬいわきのハイライン前進で、町田に中盤数的不利の状況を強いる。ハードプレスをかわし続ける町田はミドルサード自陣寄りから先までボール前進が進まない。CBからロングボール配給しようとすればハイプレスが飛びかかってきてボールの精度を欠く。

守りでは狭く絞って守り、攻めては広くつないでくるいわきに対して、町田はビルドアップを奪いに行けば中盤につながれ、引けば空いたスペースに何人も駆け込んでくる、実に思うに任せない前半だった。

清水にも感じなかった、今季最多ボコられじゃないでしょうか。皮膚感覚的には去年のアウェイ大分戦くらい、個でも構造でもボコられた印象がある。試合運びの面でも、後半立ち上がり町田が攻勢に出ようとする切先を制してカウンター完結するしたたかさ。マジで強い姿を見せてくれたいわきには心から拍手を送りたい。

以下反省点。

相手の出方に対して「何を」徹底するか

90分の中での相手の出方を見て、試合中の時間帯・状況ごとに「何を」徹底すべきなのか、切り替えて賢く戦いたい。

60分での荒木投入以降、プレスのハマりとサイド攻略が機能しはじめたのは今節の間違いない光。もし前半で3-0になっていたなら、ハーフタイムでより明確な割り切りができたとも思うが、そこが本当にサッカーの難しいところ。

課題がプレスのハマりなのか、数的な問題なのか、FWの位置取りなのか、セットプレイが足らないのか。試合全体のマクロな流れを決めるミクロなズレに気づき、徹底できていない部分がどこかを素早く見定め、修正をかけていく必要がある。

勝負のアヤを逃し続ければ勝てない。どこがアヤなのか、選手間・ベンチも空気を読み取りながらコミュニケーション取って対応していきたい。

町田にとってセットプレイは帰り立つ場所

後半70分すぎからは「もう全部セットプレイでいい」と思っていた。それをいわきが嫌がっていたから。

ピッチ上の戦術展開とは別のところで、セットプレイは町田選手の質的優位を発揮できる状況なのは明白な以上、ボール前進がなかなか厳しい局面は、スローインやCKに持ち込んで、試合のリズムを壊しにかかれば良い。

国立ヴェルディ戦の試合運びは議論を巻き起こしたが、その後、周囲のノイズの影響や、時間に対するジャッジの対応もあってか、あのふてぶてしさが少し希薄になっている気がする。

いわき相手には試合運びでもしっかり上回られた機会にあらためて見直したいところ。ピッチの上では「町田と戦うのは嫌だな」と相手に思われないといけない。

ファウルの質の確認

黒田監督がコメントでも言及していたファウルについて。

試合中のファウルをすべてなくすことはゲームの性質上なかなか難しい。それでも、今回の1失点目がそうだったように、絶対にファウルを与えてはいけないエリアは存在する。

全力同士のぶつかり合いで動いている以上、ファウルを恐れて戦うのは現実的ではないし、クリーンに勝ちきれるのが最良なのは当然として、ファウルは自軍にピンチを招くもの、対戦相手に危害を加えるためのものではなく、相手の試合の勢いを削ぐためのものとして想定しておきたい。

その点で行くと、あわてて足でつっかけるタイプのファウルが、自分や相手の負傷のリスクもともない、最もイマイチな気はする。相手は身体で抑えたい。

(個を活かすために)チームとして戦うところを見つめ直す

現状はJ2では豪華な陣容を持っているとしても、今節のようにそれぞれの個がバラバラな時間帯が増えると、個の持つポテンシャルを十分に引き出せないまま90分が終わってしまう。

個を活かすためにも、互いをサポートし、それぞれの個性・長所を活かしあえる形で戦いに望みたい。
勝ち試合が5点6点、他は引き分けか負けの結果を見せておいて守備のチームとはとても言えない。

地味でいい、1−0、終盤決めて2-0、スポーツニュースが取り上げづらい程度の地味さで粛々としたプレイを見せてほしい。ナカシ、おっくん、そして太田らベテランのチームへのコミットを期待したい。

そわそわしますが、、何話すんでしょうね。。

甲府戦プレビューは金曜か土曜くらいまでにはなんとか。

楽しみましょう!共闘🔥

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集