【プレビュー】vs筑波大学蹴球部 BS劇場を突破する。出し手を詰み一本を決め切りロースコア勝利を。 【2024天皇杯 FC町田ゼルビア】
こんにちはこんばんわ、ひだりです。
ルヴァン杯セレッソ戦、おつかれさまでした。セットプレーからのらしい2得点と、らしくない2失点。福井の素晴らしいセーブもあっての引き分けで課題はあれど、2戦合計5-3。プライムラウンド進出はひとまず良かった。
プライムラウンドはACL組の川﨑・横浜FM・甲府を交え、抽選で組み合わせなんですね。ルヴァンの次は9月ですが、待つ間もなくすぐ次が来ます。前へ進もう。
ということで、今年もはじまる天皇杯。
対戦相手は筑波大学蹴球部。フルマッチやハイライトなど試合いくつか見たので、Jチーム相手の場合と同じ感じでプレビューしていきます。
よろしくお願いします。
筑波大学蹴球部について
筑波大学蹴球部の来歴
大学サッカー最高峰とも称される名門。128年もの歴史を持つ日本最古級のサッカークラブのひとつです。
昨年の関東大学サッカーリーグ王者。
6/8(土) に行われた関東大学サッカーリーグ第8節も、東洋大学を相手にU23アジア杯日本代表・内野のゴールで1-0勝利。
第7節時点、首位・明治大学、2位・東京国際大学ともに引き分けたため、東京国際大学を抜いて、首位・明治大学と勝ち点3差の2位に浮上しています。
天皇杯1回戦では、その現在リーグ戦首位・明治大学を1-0で下し2回戦進出、今回のFC町田ゼルビアとの対戦となりました。
日本サッカー史の名跡たる由緒正しき超名門、パフォーマンス局の総力上げたガチの分析・対策めぐらし、J1首位を喰ってやろうと威風堂々・虎視眈々と野津田にやってきます。
いいね多すぎ。BS劇場も決まり強まる界隈のジャイキリ期待目線。
ちなみに、筑波大学出身のゼルビア戦士を調べてみたところ、以下の2名くらいのようでした。
原田圭輔(2014年・J3)
碓井健平(2017年・J2)
あんまおらんですね。おらなそうだなはちょっと思ってました。早稲田や国士舘が多いイメージ。
監督:小井土正亮監督
筑波大学蹴球部監督は、小井土正亮氏。界隈では三苫の恩師としても知られています。
知性の塊といったイメージがもともとありましたが、めちゃくちゃ数奇な運命を辿って今に至っている方なようで。ざっくりまとめると以下。
筑波大学で蹴球部員として4年間在籍。大学卒業前、大学院試験・水戸ホーリーホックの入団テストを受け双方合格、筑波の大学院に通いながら1年間のプロ経験をすることに。
プロとしては目が出ず1年で引退し大学院に専念。
大学院に通いながら就いた筑波大学蹴球部ヘッドコーチで指導をはじめる。
以後、U-16日本代表、 柏レイソル、清水エスパルス、ガンバ大阪とさまざまなJチームでテクニカルスタッフ・アシスタントコーチとして指導を経験。
2014年から筑波大学准教授/蹴球部のヘッドコーチ〜途中から監督に就任。
蹴球部は同年関東2部降格の憂き目に遭うも、翌2015年に1年で1部復帰、2016年12月に行われた第65回全日本大学サッカー選手権大会では優勝を飾る。
以下の記事、3部作長編ですが、すごくおもしろいのでお時間ありましたらぜひどうぞ。S級受講中だった筑波大の先輩・長谷川健太監督(現・名古屋監督)との関わりはいかにも縁がつないだ話で、とても人生を感じる。
「選手の自主性を引き出し、選手自身が自分の頭で考え、個性を活かし、目前の課題に立ち向かう」ことに価値を見出す考え方は、実際の筑波の試合で目にする選手たちの躍動ともよく重なります。
教員キャリアをベースに指導を続ける黒田監督とは、教育者対決という側面もありますね。
以下、現在、筑波大学蹴球部の行っているサッカーについて、天皇杯明治大学戦の試合映像を中心に、関東リーグのハイライト・フルマッチいくつかもふまえ見ていきます。
ボール保持3142
ボール保持ではボランチが1枚降りてCBに、両SBは高めの位置を取り、相手守備の間間のスペースを活かしたパスワークで前進を図る。
3142の後ろ3枚から中盤5(14)枚に縦のボールを当てる前進を多用する。
ただ、ショートパスに固執はせず、442ブロックで奪取した際はシンプルにサイド経由や最前線のFWや相手最終ライン裏へのフィードなども思い切りよく使う。
ボール非保持ブロック442 撤退時532-541
ボールを奪われると442ブロック守備で対応。中盤やサイドでのこぼれ球の奪い合いでは球際強いプレスも見せる。
相手の最終ラインに対しては2トップ片方が追い回してビルドアップを妨害、流れで424で圧をかけるシーンも見られる。
ボール奪取後442のままサイド展開や前線に向けたロングボールも活用した速攻も仕掛けたり、攻守の流れは非常にシームレス。
守備時に44ブロックを組む部分は守備の形として約束づけられている。
天皇杯・明治大学戦の後半には、相手の早い攻めを受ける際に532-541も併用していたので、44ブロックを組むというより「ネガトラでは選手同士の距離感を詰めコンパクトに対応する」が約束なのかも。
スペースを巧く使うことへの意識が強い
守備時のコンパクト以外は空いたスペースをいかに効果的に使うかを重視する、良い意味で形に固執しない、一番ゴールに近づける方法を選ぼうと試行錯誤する、賢さ感じるサッカー。
天皇杯・明治大学戦の決勝点も、明治ゴール前に列作ることで空けたペナルティエリア中央部にボールを蹴り込み、中の選手が下がりながらヘディングで合わせるデザインプレー。
スペースを巧く使うことへの意識・思考の強さを感じさせる。
選手
GK1佐藤 瑠星
RSB 18池谷 銀姿郎
CB 28諏訪間 幸成(横浜FM内定)
CB 29 小川 諒也
LSB 2沖田 空(水戸内定)
RMF 10角 昂志郎(磐田内定)
CH 16加藤 玄
CH 6高山 優
LMF 14田村 蒼生
FW 11半代 将都
FW 9内野 航太郎(U23アジア杯日本代表)
川崎あるいはジュビロがやる「闘えるボール保持」のサッカーに近い。
町田にとっては、パスでプレスを外してくる相手をいかにハメ込むかというゲームになるので、ルヴァン杯セレッソ大阪戦の後・J1リーグ横浜F・マリノス戦の前にやる試合としては、悪くない流れかもしれません。
町田が中盤で奪いにくるのをわかった上で、筑波がどれだか愚直な中盤パス打開をしてくるかは不明。
3バックでも4バックでもそれぞれ良い部分を状況ふまえて柔軟に活用できる構造なので、新潟がやったようなプレスの掛け所をしぼらせない2列目の動きを噛ませたビルドアップ+長めのボールで前線の内野や半代、サイドの角に早めに当てる戦い方はあり得る。
なお、この角は2014年に行われたU12世代のFIFA公認国際大会ダノンネーションズカップに日本代表として出場・優勝した横河武蔵野ジュニアのメンバーの一員です。
細かなドリブルタッチでボールを収めて仕掛けられるスピードタイプ。三苫みある。
ゼルビアの対策
中盤への差し込みの球際・こぼれ球の奪取
ビルドアップ時のボールの出所をチェックして簡単にパスを出させない、エラーを誘う
IHがボールを受ける瞬間の球際で奪う
町田の強み回避のため、筑波も新潟がしたように安易に真ん中へ差し込むアクションはしてこないかもしれないが、その上で最終ライン〜中央はカッチリと締める。まず「中盤から差し込んでいくのは簡単じゃないな」と筑波に感じさせてから勝負がはじまる。
中盤を抑えれば、筑波にはウィング位置で仕事ができる個もいるので、サイド〜縦への速い攻撃にも備える必要がある。
切り替え0秒・トランジションの徹底
6/8(土)に行われた関東大学サッカーリーグ第8節 東洋大学戦 前半29分の得点シーンは、まさにゼルビア相手に狙ってきそうな形。(以下動画)
東洋大学の縦クサビ〜ドリブルで持ち上がる単騎突破をバイタルエリアで人数かけて囲い込んで奪取。筑波すかさず前進するボランチに縦パス〜素早く左サイド裏へロングフィード。FW内野が走り込んでそのままGKとの1vs1を決め切りゴール。
手数少なく縦に速く行く良いカウンターゴールだった。
こういうのをさせたくない。攻撃した後の切り替え・トランジションは相手が大学生だからこそ、より徹底して臨みたい。
守備で狭く奪って、攻撃では広くスペースを使ってくる技術がある相手なので、ネガトラ時の即時奪回アクション+SBは裏や脇狙いのロングボールをケアできるよう、攻撃時からポジショニングに注意したい。
後ろに引かず、攻め急がずで試合を運ぶ
中央・サイドと相手の攻め手を塞ぎ続け、0-0上等の試合運びは大学生相手だろうと変わらない。
相手が前がかりに来たところの裏狙い・ロングスローやCKなどセットプレーも生かし1本の機会が来た時、絶対に逃さない部分でプロらしさを発揮してほしい。
まとめ
筑波大学蹴球部は、人とスペースの活用に意識的かつしっかり縦に差し込む志向も持つ、見ていても非常に美しいサッカーをする。
とはいえ、天皇杯出場権をかけた茨城県代表決定戦・流通経済大学戦など見ても、必要に応じてしっかり局面闘えるチームでもある。
ガツガツとしたスタイルではなくても、コンパクトな守備と高い危機予測で致命的なアタックを受けないよう、あいまいに相手の進撃を受け流す守りができるチーム。実際、
天皇杯 vs明治大学 1-0 ⚪︎
関東大学リーグ vs東海大学 2-1 ⚪︎
関東大学リーグ vs東洋大学 1-0 ⚪︎
と、ここ3戦で失点は1。今季の関東大学サッカーリーグ戦(1部)戦全体でも7試合4失点、1試合平均は0.57失点と高い守備力を誇る。
町田は今季J1 17試合で15失点 1試合平均 0.88失点。
大学生とJ1チームで対戦相手が異なるため単純比較はできないもの、数字自体は筑波の方が優秀。町田・筑波 双方の良い所が出れば出るほど、ロースコア決着になりそう。
だからこそ、まず先の失点は絶対しない。
筑波が引いて町田にボールを持たせてカウンターを狙ってきたとしても、時計の進む間はアグレッシブに圧力をかけ続ける。
ルヴァン杯・セレッソ大阪との第1戦のように、消耗を誘った先に、十八番のセットプレーや選手の個の質活かした理不尽砲ふくめスコアを動かして、しっかり勝ち切りたいところです。
6/8(土)デュークも代表から戻って合流〜早々にルヴァン杯セレッソ戦ラスト30分、出場してくれました。筑波戦でも、エリキ・デュークコンビで出れるか、出れないかは大きいですね。
BS劇場おなじみ周囲のワクワクな期待感を地味に粛々と裏切って全力で「町田つまんねえ」って言わせたい。
全力で町田の勝利を祈り、応援したいと思います。
週ナカも勝ちましょう。共闘🔥